ナイトクラブと音楽フェスティバル再開に向けた各国の対応は?

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    Wed, 1 Jul 2020, 04:10
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  • COVID-19に影響を受けたクラブの営業再開や休業、音楽フェスティバルに関する最新情報。
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  • 世界経済の活動再開のプレッシャーに直面する各国の政府や保健機関が、音楽ヴェニューやナイトクラブ、フェスティバルの再開に関するガイドラインを発表し始めている。 世界中で500万人以上もの感染者数が確認されている現在、ナイトライフ・エコノミーの再開は非常に緩やかなものになるだろう。中国ではナイトライフを慎重に取り戻しているものの、韓国ではクラブが営業を再開した直後に新たなクラスターが発生し、再び営業禁止令が敷かれることとなった。こうした事実を考慮すると、ライヴミュージックやフェスティバル、クラブナイトの完全な再開は、ワクチンあるいは特効薬が登場するまでは困難であると予測される。そうした中で、スペインアイルランドの政府は、その他の経済活動と合わせてクラブや音楽フェスティバル、ヴェニューを対象とした段階的な制限緩和計画を発表した。 各国のナイトライフ再開の最新状況は以下の通り。 最終更新: 7月1日(水)午後13時10分 スイス スイスの連邦議会は、屋内集会の参加人数の制限をソーシャルディスタンシング無しで300人から1,000人に引き上げると、政府のウェブサイトで発表した。コンサートホールや劇場、映画館が対象となる今回の緩和措置だが、COVID-19の感染拡大を遅らせるためのいくつかの制限が含まれている。来場者が300人を超える場合は、パーテーション、あるいは最大300人収容の部屋で観客を分ける必要がある。1,000人以上のイベントに関しては、引き続き2020年8月31日まで禁止されている。(チューリッヒのFlamingo Clubで開催されたクラブナイトを訪れた客の1人がCOVID-19の陽性反応が出たため、300人の客に自主隔離の指示が出されたとMixmag報じた。) 議会は、ウイルスはまだ国内に存在する脅威であることから、人数制限やその他の衛生、ソーシャルディスタンシング措置などの安全対策は慎重に従ってほしいと強調した。スイスのコロナウイルス ・タスクフォースを率いるマティアス・エッガーは、最近実施されたロックダウン緩和措置が悲惨な結果をもたらす可能性があると警告する。「一番最近の緩和措置は時期尚早だ」と、彼はスイスの新聞NZZ am Sonntagにコメントした。「これまでと変わらず、スイス全体に対応できるモニタリングシステムはまだありません。接触追跡システムがどれだけ有効なのかも分からないのです」 また、スイスは6月15日に、EU加盟国からの入国制限を撤廃した。この緩和措置はイギリスと、さらにはリヒテンシュタインやノルウェー、アイスランドなどのシェンゲン協定加盟国も対象となった。 オランダ 6月24日、オランダ政府は、これまでは30人だった屋内スペースでの人数制限を、固定した椅子のある部屋で最大100人に引き上げた。屋外ヴェニューでは最大250人まで。ただし、事前の予約、固定された椅子、入場時の健康チェックを行った場合は、キャパシティの制限は無い。ナイトクラブやディスコは、2020年9月1日まで引き続き閉鎖される。 ここ数週間で感染拡大ペースは落ちているものの、オランダはヨーロッパ諸国の中でも感染率が最も高い国の1つだった。「私たちはウイルスを終わりにしたいところですが、ウイルスが私たちと終わりにしてくれません」と、ヒューゴ・デ・ヨング保健相は水曜日の記者会見でコメントし、第2波を防ぐことの重要性を強調した。「ワクチンが完成して、私たちは初めて守られるのです」 ベルギー ベルギーでは7月1日からロックダウン措置が緩和されると、ロイターが報じた。新しいルールのもと、ヴェニューはソーシャルディスタンシングや衛生対策を実施した上で、屋内で200人、屋外で400人を上限にイベントを開催することができる。 「流行の再発からはまだ逃れられません」と、ソフィー・ウィルメス首相は水曜日に記者たちにコメントした。「今年の夏は奇妙な雰囲気になりそうですね」 スペイン スペインでは6月8日から封鎖解除の第3段階に入り、バーとナイトクラブが営業を再開するとEl Paisが報じた。しかし、ダンスフロアは「テーブルの設置場所に使用する必要があり、通常の方法で使用する事はできない」ため、ダンスは禁止となっている。また、ソーシャルディスタンシングを確保する必要がある。イビサの屋内スーパークラブは、2020年は営業しない可能性があると伝えられていたが、6月28日の週末にはAmnesia Ibizaがホストしたプライベートパーティーで、130人が退店させられたという。 5月25日より、屋外イベントは400人、屋内イベントは50人を上限に開催が許可される。7月2日から4日にかけて開催予定だったFestival Cruïllaは、Cruïlla XXSと題した大規模な取り組みを発表。7月に、デザインミュージアムやカタルーニャ国立劇場の庭園といったバルセロナ市内の様々な屋外ヴェニューを舞台に、計200のオープンエアイベントを実施する。(IQ Magazineより。) また、スペインは7月1日から外国からの渡航者に対する2週間の隔離措置を解除し、外国人観光客の受け入れも再開する。ローカルプロモーターたちの反応については、英語版サイトで掲載したこちらこちらのニュースをチェック。 イギリス 昨日6月23日、イギリス政府は、7月4日から実施するロックダウン緩和計画第3段階に関する新たなガイダンスを公表した。パブとレストランはキャパシティの制限と安全対策を実施した上で営業可能となる。また、客は入店時に連絡先の提出が求められる(この対策は既に他国で実施され、UKでも導入が求められていた接触者追跡に従ったものだ)。また、ホテルやキャンプ場、その他の休暇施設も再開される。博物館や美術館のような文化施設も再開される見込みだが、ナイトクラブとライヴハウスは引き続き閉鎖されたままだ。 大手イベント / チケット会社Live NationがUK各地でドライブイン・コンサートを開催予定だと、BBC報じた。(この発表の前日には、同社のアーティストへの出演料の減額交渉や、ポスト・パンデミックのライヴ業界におけるその他の金銭的なシフトを伝えるメモの存在をRolling Stoneが報じた。)ロンドンのヴェニューPrintworksもまた、ドライブイン・イベントを開催する。 英国内務省は5月初めに、全60ページに及ぶ経済再開計画を公開した。国内のロックダウンは3段階に分けられており、第1段階は5月11日、第2段階は6月1日に実施、7月4日には第3段階が解除となる見込みだ。 ガイダンスの中でナイトクラブが言及されているのは1回のみだった。「屋外スペースやアクティビティ(ソーシャルディスタンシングは継続するものとする)の再開に関しては、屋外では感染のリスクが大幅に下がることから、ロードマップの中でも早い段階に含まれているが、屋内の公共施設やレジャー施設(ジムや映画館など)や、社会的交流を主な目的とする施設(ナイトクラブなど)、多くの観客が集まる会場(スポーツスタジアムなど)、そして近距離での接触が避けられないパーソナルケア施設(美容室など)の営業再開は、感染者数の減少具合によってかなり遅い時期に完全に可能とすることが予測される」 Night Time Industries Association(NTIA)が行った調査によると、UKの業界はロックダウン解除後に大きな懸念を抱えており、ナイトライフ事業者のオーナーの93.8%がソーシャルディスタンシングは破綻につながると“憂慮”していることが分かった。インディペンデントなフェスティバルもまた、同様の不安を抱えている。 チャリティ団体のMusic Venues Trustは政府に対し、グラスルーツ音楽セクターへの5000万ポンドの支援を要求している。 ドイツ ベルリン市政府は、6月27日土曜日に全ての接触制限を撤廃する。1,000人以上の屋外イベントは8月31日まで禁止され、9月1日から10月24日までは人数制限が5,000人にまで引き上げられる。屋内イベントに関しては、7月31日までは300人以下限定で開催可能。8月は最大500人、9月は750人、10月からは1000人までと段階的な緩和措置が実施される。I Music Business Worldwideの記事によると、ドイツ政府は文化セクターへの10億ユーロの支援を約束し、そのうちの1.5億ユーロはライヴミュージック業界に割り当てられるという。 ドイツは飲食店を含む全店舗に、ソーシャルディスタンシング対策などを徹底した上で営業再開を許可しており、国内のレコードストアには良いニュースとなった。 ベルリン市内ではSisyphosなどの複数のクラブが、5月15日(金)から食事メニューありのビアガーデンとして営業を再開した。ただし店内でのダンスは厳禁とされ、ほとんどのバーは午後10時頃には閉店している。バイエルン州でも5月18日(月)にレストランが営業を再開したと、BBCが報じた。 ドイツ国内のクラブ、劇場、その他の文化施設を対象とした営業禁止令は、7月31日まで継続中。5,000人以上の大規模イベントについては10月24日まで禁止されている。 アメリカ合衆国 アメリカの経済活動の再開は州ごとにばらつきが見られ、オースティン、テキサススプリングフィールド、ケンタッキーといった一部の地域ではバーやナイトクラブが近いうちに営業を再開する。世界でも最多レベルの感染者数と死者数が出ている中、ニューヨークやロサンゼルスのような都市での経済活動は段階的に再開されているが、その中でもナイトクラブやバーといったビジネスは最終段階に組み込まれることが予想される。 ニューヨークシティのビル・デブラジオ市長は、6月22日月曜日から再開計画の第2段階に移行すると発表した。これによって屋外席のあるレストランやバーが、テーブル間隔を空けた上で営業可能となる。客は着席している時以外はマスク着用が義務付けられ、同席できるのは同居家族のみ。Nowadaysは来週から人数限定で屋外スペースをオープンすると発表したが、詳細についてはまだ不明だ。 オハイオの音楽フェスティバル会社ESK Presentsは、パンデミックの間の大型イベントに対する禁止令に“根拠がない”として、州と国の保健当局を相手取って訴訟を起こしたと、IQ報じた。尚、オハイオ州内では今も尚、毎日300から700件の新規感染が確認されている。 日本 日本では5月25日に、首都圏を含む全国で1ヶ月半にわたる緊急事態宣言が解除され、社会経済活動が段階的に再開された。トラベルWatchのレポートによると、コンサートに関しては解除宣言以降、屋内で100人、屋外で200人を上限とし開催可能となり、6月19日以降は屋内は1000人または定員の50%以下、7月10日からは5000人または50%以下にまで引き上げられ、8月1日の屋外イベントに関してはソーシャルディスタンシングが保たれれば人数制限なしで開催可能となる見込みだ。 東京や福岡県の北九州に先駆けて、大阪や北海道などでは6月初め全業種への休業要請が解除された。そして政府は13日に、ライヴハウスとクラブ、接待を伴うバーやスナックなどの営業再開に向けたガイドラインを公表。感染防止策の中には、最低1メートルのソーシャルディスタンシングの確保や定員の50%以下までの人数制限、店内のボリュームを必要最小限に抑えることなどが含まれるが、ガイドラインには強制力や罰則はなく、対策の徹底は店側に委ねられることとなる。これらの業種への休業要請は6月19日に解除され、東京を含む全国各地のDJバーやクラブが営業を再開している。 また、文化庁が公表した総額560億円の文化芸術活動への緊急総合支援パッケージは、当初は対象団体にライヴハウスなどが想定されないという指摘があったものの、ドキュメントの最新版には「DJなど従来の文化庁事業で必ずしも明示していなかったものも、対象となりうることを想定」と明記されている。 日本各地のクラブシーンとCOVID-19の闘いについてはこちらの記事をチェック。 オーストラリア シドニーのあるニューサウスウェールズ州では、このまま感染率が低い状態を維持できた場合、早ければ8月にナイトクラブの営業再開が許可される。ただし、ソーシャルディスタンシングを保つための一人当たり4四方メートルのルールが実施される見込みだ。州内の屋外コンサートヴェニューは7月1日から営業可能となるが、観客を着席させた上で定員の4分の1に制限する必要がある。パブやレストラン、そのほかのホスピタリティヴェニューは、国内の他の州でも徐々に再開されてるが、スコット・モリソン首相はナイトクラブに関する懸念を示しており、世界の国々でも“失敗しているエリアの1つ”だと指摘した。 Live Performance Australiaは、ライヴミュージック業界の復興を支援する3億4500万豪ドルの計画を提案した。 ニュージーランド 10週間にわたるロックダウンの後、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は6月8日に、「ウイルスの流行を排除できたと確信している」とし、入国制限を除くほぼ全てのCOVID-19に関する規制を解除すると発表した。この動きによって同国ではおおよそ通常通りに経済活動が再開され、実質的にクラブとフェスティバルは人数やソーシャルディスタンシングなどの制限なしに運営可能となった。しかし、その後3人の感染が新たに確認され、一部の制限措置が再び強化された。 尚、同国政府は5月に、1億7500万豪ドルのアート / クリエイティブセクターへの支援パッケージを発表した。 デンマーク デンマークのロックダウン措置は5月18日に解除された。6月27日からは、国境が“制限付きで開放”される予定だ。 ポルトガル 6月より、ポルトガルでは着席のコンサートが再開された。会場はキャパシティを通常の50%に制限して営業する必要がある。マスク着用とソーシャルディスタンシングの確保が義務付けられ、同居人の場合のみ隣に着席可能となっている。 アイスランド アイスランドでは政府がロックダウンが緩和したことによって、月曜日からバーとナイトクラブが営業を再開した。同国では人口の17%に検査を実施しており、これまでの感染者数は1,804人、死亡者数は10人となっている。通常平日は午前3時、週末は4時半まで営業しているアイスランド国内のバーとクラブは、現在は午後11時までに閉店しなければならない。 GDPの10%が観光行による収入のアイスランドは、6月15日に国境を開放する。レイキャヴィークのケプラヴィーク国際空港では、14日間の自主隔離を避けたい渡航者に対しPCR検査を実施する。夏のフェスティバルやコンサートの開催可否に関しては、依然として見通しが立たないとAgence-France Presseが伝えている。 香港 香港では5月28日木曜日から空港、ナイトクラブ、カラオケ、パーティールームなどが営業を再開したが、公共の場で9人以上集まることは禁じられている。COVID-19の新規感染者は2週間近く出ていないと、Forbesが報じている。(このニュース記事の写真は、5月22日に営業を再開した香港の宀 club。) コロンビア コロンビアでは社会活動の制限を緩和し始めたが、イヴァン・ドゥケ・マルケス大統領は、コンサートのような大規模イベント再開への道のりは遠いとコメント。最悪のシナリオではワクチンが開発されているであろう18ヶ月後の再開としているが、今から6〜12ヶ月後にイベントを再開可能とするシナリオも。ドゥケ大統領によると、政府はバーやナイトクラブ、ヴェニューがソーシャルディスタンシング時代に向けて“再編”し、今後は感染拡大を引き起こすことなく営業を続けられるよう支援する方針だという。 イタリア ヨーロッパでも最も厳しいレベルのロックダウンを実施したイタリアが、ロックダウンを段階的に解除し始めた。5月18日(月)より、バーやレストランはテーブル間の距離を十分に取り、着席していない客にはマスクの着用を義務付けることで営業再開が可能となったとThe Local ITが報じている。 また、DJ Mag Italia記事によると、6月15日までには屋内で200人以下、屋外で1,000人以下のライヴミュージックイベントが、指定席を設け、マスクを着用した客同士の間隔を1メートル開けた場合に限り再開可能になるとのこと。閣僚評議会が発表した新たな法令の中にナイトクラブは含まれていないが、シチリア当局は島内のクラブには6月8日から営業再開を許可する方針で、現在政府の承認を待っている段階だという。 韓国 韓国では先月集会の制限が緩和され、4月24日の週末に多くのクラブが営業を再開した直後、COVID-19の新たなクラスターが発生し、ソウル市内のクラブは再び営業禁止となった。 しかし、先週よりFaustやBeton Brut + Concrete Barなど、一部のクラブが人数を制限した上で営業を再開。韓国政府は、クラブやカラオケなどの遊興施設を対象に、QRコードによる客の身元確認を義務付けており、違反した施設には300万ウォン以下の罰金が科されるほか、営業停止となる可能性もあるとSankeiBizが報じた。 ポルトガル ポルトガル政府は9月30日まで音楽フェスティバルの開催を禁止しており、このことがチケットの払い戻しにも関わっているとECOが報じた。「2月28日から9月30日までに予定されていたイベントがCOVID-19の影響により開催されなかった場合、購入者には“支払ったチケット代と同等の価値のあるバウチャー”を配布します」と政府は発表している。 アイルランド アイルランド政府が公開した23ページの社会経済活動再開に向けたロードマップには、暫定的なタイムフレームの中での5段階の緩和計画がまとめられている。その最終段階(8月10日実施予定)で、「フェスティバル、イベント、その他大規模の集会は、ソーシャルディスタンシングを実施した上で」開催可能となる。 中国 中国ではクラブやバーなどの店舗が営業可能となった。Nyshka Chandranは成都、上海、深セン、北京のヴェニューのオーナーやスタッフ、プロモーターに、ロックダウン解除ごのローカルシーンの回復状況について尋ねた。詳細はこちら(英語版サイト)でチェック。 この記事は各国からの制限緩和計画を発表やアップデートがあり次第、随時更新します。 情報をご提供いただける方は [email protected] までご連絡ください。