緊急事態宣言解除後に横たわる、不透明な日本のクラブの未来

  • Published
    Tue, 19 May 2020, 06:00
  • Words
    Resident Advisor
  • Share
  • 収入の損失により、日本中のヴェニューの多くが危機を乗り越えられない可能性も。
  • 緊急事態宣言解除後に横たわる、不透明な日本のクラブの未来 image
  • 日本の多くの地域で1ヶ月に及ぶ緊急事態宣言が解除されたが、ナイトライフ・ヴェニューの闘いは終わっていない。 安倍晋三首相は5月14日の会見で、東京、大阪、京都をはじめとする8つの都道府県を除く39県で宣言を解除し、徐々に“新たな日常”を取り戻していくと発表した。今月初め、政府は4月に発令した緊急事態宣言を5月31日まで延長するとしたが、COVID-19の新たな患者数が減少する中で考えを改めた。政府は今週21日をめどに、残りの8つの特定警戒都道府県の解除について判断する予定だとNHKは報じている。 緊急事態宣言下で、バーやナイトクラブ、ライヴハウスは“営業自粛”を求められた。このアプローチは、厳格なロックダウンにより施設の閉鎖を余儀なくされた他国とは異なるものだ。国による自粛要請に応えてきた日本のナイトライフ施設のほとんどは、現在、多額の損失を抱える。そのため、様々なヴェニューが資金調達サイトCampfireなどで募金を集っている。 福岡県北九州市にあるクラブ、Sound Space αは来月までに120万円以上の資金調達を目指している。マネージャーの原田祐輔氏は、6月に営業を再開するかは現時点では不明だとResident Advisorに明かした。 4月1日から休業している京都のClub Metroは、同月30周年を迎える予定だった。地下鉄の駅にちなんで名付けられたこのヴェニューは、5月19日時点で1400万円以上の募金を集め、目標額の400万円を大幅に上回った。地元アーティストのSINKICHIは同ヴェニューに縁のあるアーティストたちによるトラック全59曲を収録したコンピレーションをまとめ、収益のすべてをClub Metroに寄付した。 政府や各自治体は打撃を受けた企業を対象に様々な助成金を支給しているが、支払いペースの遅さに多くの人が不満を抱いている。原田氏によれば、Sound Space αは支給を待っている状態とのこと。東京では、先週ようやく中小企業が現金を受け取り始めた。 これらの懸念に対処するために、ナイトタイムエコノミー推進協議会は先日、ライヴ・ミュージック・ヴェニューのサポート申請の支援を目的とした新しいコンサルティングサービスを発表した。ヴェニューが活⽤できる公的な⽀援策はこちらにまとめられている。 また、野党による事業者への家賃救済支援策の提案もあって、政府は新たな給付金制度を開始する方針だ。家賃の3分の2相当を半年分支給するもので、具体的には中小・小規模事業者は月50万円、個人事業主については半分の月25万円をそれぞれ上限とする方向で調整している。 だが、依然として全体的な雰囲気はポジティブとは言えない。 「みんな他国に劣る政府のサポートのレベルに怒っています」と東京拠点のDJでEureka RecordsとTsubaki FMを主宰するMidori Aoyamaは語る。彼はフリーランサーとして、一括で最大100万円を受け取ることができる持続化給付金の申請を行った。「振込までの期間も長く、場合によっては受け取れない人もいるかもしれないが、諦めずに希望をもってトライして欲しい」と説明した。 現在の東京の雰囲気はまちまちだと彼は付け加えた。 「自宅待機に疲れて出掛ける人もいるものの、多くの人は感染が増加することを心配しています」 ソウルのナイトクラブでは、先月営業再開した後にコロナウイルスの新しい症例が発生した。 「ソウルのクラスター発生のニュースがあったので、たくさんの人がクラブに行くことを控えると思う」と、同じく東京を拠点とするDJ Shhhhhはコメントする。 クラブやライヴハウスへの出入りは今後も控えてほしいとしながらも、政府は現時点で39県の解除地域でのイベント開催に関し、容認する規模の基準を発表している。屋外では「200人以下、かつ人と人との距離を十分に確保できること」を求め、具体的な距離は2メートルが望ましいとし、屋内では「100人以下、かつ収容定員の半分以下の参加人数にすること」が目安だ。しかし、音楽ライターのレジー氏がレポートしている通り、例えば大阪府が作成した劇場などに関するマニュアル通りに座席間隔の確保を行うと、席数の概ね15%程度しか動員できないとされている。沖縄の宜野座村文化センターがらまんホールにて行われた「ソーシャルディスタンスを確保して客席に座る実験」によれば、400人収容のホールに入ることができるのは60人のみ。この条件下で再開したとしても、多くのヴェニューは営業を続けるのに十分な収益を得ることはできないだろう。UKではNight Time Industries Associationが国内の200団体を対象に調査を行った結果、ロックダウン解除後にキャパシティを30〜40%に制限した上で営業を再開した場合は十分な収益が見込まれず、補償が必要になると回答した企業が63.8%に上った。 新型コロナウイルスがエレクトロニックミュージックシーンに与えてる影響については、こちらのニュース記事をチェック。