Various - Panorama Bar 06 Part I / Part II

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  • 後世に重大な影響を及ぼした重要作Cassy『Panorama Bar 01』のように、Ryan Elliottによる『Panorama Bar 06』もビッグ・チューンを並べるというよりも、テクノに限りなく近いハウス(もしくはその逆)によって作り上げられたしなやかなムードを持つミックスだ。収録された35曲のトラックによって印象的に張りつめた空気が作られ、そのうちの10曲はミックスに特化しており、素晴らしいDJセットをまとめ上げるある種の秘密兵器的な接着剤となっていた。こうしたトラックは、例えどれだけ素晴らしかろうと得てして陰に隠れてしまう運命にあることが多いが、それを白日の下に晒す「Panorama Bar 06 Part I / Part II」は、したがってOstgut Tonの中でもベストとなるEPとなっている。 全体的に見ると、本作はツール・トラックだが、そのシンプルさと機能性がクリエイティビティとパーソナリティを排除することはない。その最も好例となっているのがMakamによる"Girls Night"だ。吟味に吟味を重ねたダブ・テクノ的シンセが、鋭く怪しげなものに変化していく。似たような作品はたくさんあるが、このトラックには及ばない。Tuff City Kidsも"Breacher"にて同様のことをやっている。ドライブ感のあるドラムとディスコの空気から構築されたトラックだが、その素材からは予想出来ないほど巨大で恍惚とした盛り上がりを見せていく。Roman Flügelによるダーティーな"The Odd Lobster"とTerrence Dixonによるループ・トラック"Innocence"は、ここ最近の両者の作品の中で最もヘビーでストレートな仕上がりで、面白みのあるひねりが無い分、屈強なグルーヴで補われている。NewworldaquariumとMarcel Dettmannの2人はビートレスな方向に進み、彼らのならではの特徴的なサウンドを蒸留したムードのある抽出物はDJセットを爆発させたりクール・ダウンさせたりすることだろう。 「Panorama Bar 06」のエクスクルーシブとなっている2曲は、より広範に知れ渡ることになるだろう。埃っぽいディープ・ハウスの伴奏が活性の高い未来的なテクノ・サウンドへと形を変えていく"Leave Me"は、この1年の間にスバ抜けた作品を発表してきているBorrowed Indentityの作品の中でもベストにあたるトラックだ。根は非常に静かなトラックなのだが、その処理の堂々さによってポップに仕上がっている。Deadbeatによる"Woah!"は、全ての要素がその「!」マーク付きのタイトルにふさわしい。半分は至福なメロディ、もう半分は拷問のようなパーカッション、そして全体的にダビーで方向感覚を失わせる。どんなセットにおいてもこのトラックを滑り込ませば、新鮮な空気をもたらすだろうし、もしくは、火に油を注ぐような盛り上がりを見せることだろう。
  • Tracklist
      Part I A1 Newworldaquarium – Thousand Oaks A2 Roman Flügel – The Odd Lobster A3 Terrence Dixon – Innocence B1 Borrowed Identity – Leave Me B2 Tuff City Kids – Breacher Part II A1 The Oliverwho Factory – Take It Slow A2 Deadbeat – Woah! B1 Nick Höppner – Track For Eb B2 Makam – Girls Night B3 Marcel Dettmann – Light