Paul Woolford and Psycatron - Stolen

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  • Paul Woolfordは、今年の復帰アーティストの一人に入るだろうか?2011年の始め、ExchangeシリーズのインタビューでベルリンのRA事務所を訪れた彼を目にしたとき、正直そんな確信はもっていなかった。むしろ僕の抱いていた彼のイメージは、デビュー当時の栄光の影すら感じることのないアーティストだったのだ。だがそのイメージも彼との会話を通して覆ってしまった。オープンでおしゃべり、なおかつ思いやりのあるDJ/プロデューサーという人柄が浮き彫りになったのだ。人柄だけではなく、Berghainでの見事なオープニングセット やFact Magazineの広がりある Podcast 、それにT. Williamsの"Heartbeat"のリワーク作品、低評価だったのが今でも疑問に思うPlanet Eの12インチといった一連のリリースにおいても彼の栄光を見て取ることができる。最近では、Psycatronとのコラボレーション作“Stolen”が、今年の最も興味深い作品の一つとして上げられる。 多くの人は、UKのベース・プロデューサーの大半が他ジャンルへのアプローチとしてハウスミュージックを制作していると捉えているが、逆にハウス/テクノのアーティストがベース・ミュージックへ接近しているという現象も僕は目にするし、そちらの方がより興味深く思う。とりわけ Will Saul、Adam Marshall、Woolfordあたりが、今再び話題の中心となっている。そういった状況を掴みたい人には、"Stolen" をオススメする。4つに分かれたフレーズが9分以上に渡って進行するそのトラックは、ブレイクビート・テクノのタフさ?Skudgeの持つアナログ感?ガレージに登場するような甘いボーカル?フリッジ・アシッド? “Stolen”にはそういった要素がうまくひとつにまとまっているのだ。 PaulとPsycatronが僕たちに提示しているものは、決して新しくはない。しかし、彼らが良い意味で期待を裏切るトラックをリリースする事を僕は予想していなかった。Paulは以前のインタビュー記事で、"Erotic Discourse" のリクリエイト版を作って金儲けをする気はないと言っていた。そうするべきであったのに。あの曲のもつ美しさはとにかく予想が出来ない範囲だ。今回の"Stolen" もそう。今後彼らが進むべき道はこういった方向なのではないか。少なくとも僕もそう願っている。
  • Tracklist
      A Stolen B Stolen (Dub Mix) Digital: Stolen (Dub Mix 2)