Native Instruments - Komplete Audio 6

  • Share
  • Native Instruments(以下NI)というと、ソフトウェアのプロデューサーというイメージがまず初めに浮かぶだろう。Traktor用のX1やS4コントローラ、Audio Kontrol1を含む様々なサウンドカードといった、ハードウェアーデバイスに対応したものを作っていた。ソフトウェアとハードウェアーのコンビネーションの専門技術は、結果として素晴らしいバンドルを生んだ。(例えばS4では、Traktor 2 Proももれなくついてくる。)これらのパッケージを通して、NIはユーザーにお金を出すだけのバリューと、より広いインテグレーション(統合)を与える事ができている。S4同様に、NIは現在Kontrol1に代わってサウンドカードのアップデートを、USBオーディオ/インターフェイスを搭載した Komplete Audio 6 と共に行った。 パッケージには、インターフェイス、USBケーブル、説明書、25€分のe-クーポン、 Cubase 5 LE(シーケンサーとレコーディングのソフトウェア)、Traktor 2 LE(DJソフトウェア)、 Audio 6 installation ディスク、 Komplete Elements (プレセットだけでなく3.69GBものインストルメントやエフェクトが1000以上も搭載)が同梱されている。LEバージョンのCubaseにも本格的な DAWの機能性を搭載しており、パソコンを買ってKomplete Ausio 6を購入してしまえば曲作りに必要なものは全て揃っていると言っても過言ではない(MIDIキーボードなどを抜かせばの話だが)。 サンプルやインストルメントデッキ、そしてほとんどのオーディオエフェクトがないという点で少しの制限はあるものの、Traktor 2 LEはNLのDJ製品では最高のものとして掲げられている Komplete Elementsはその中でも主要なソフトウェアアイテムだ。独立したソフトウェアではなく、NIにある他のアプリケーションと共に繋げられている。The Kontakt 4 Playerには、ビンテージ/モダンシンセサイザーの他、ドラムループを作るキットやAbbey Roadの60年代初期のビンテージドラム、Kontakt Worldのインストルメント、そして Vienna Symphonic Library Orchestraのハイライトものも含まれている。 Reaktor 5 Playerでは、6つのReaktorシンセサイザー、Guitar Rig 4 Essentialでは19ものキャブ、27ものエフェクト、ギターアンプ、エフェクトプレセットといったセレクションが並んでいる。全てのアプリケーションがそれぞれ独立して動いており、 Guitar RigとKompleteはCubaseへ、そしてライブDJにはTraktorと、プラグインに関して言えば作業の流れがしやすいものになっている。 The Audio 6は金属で周りを包まれており、頑丈なプラスチックが上部とサイドをカバーしている。丈夫な上に見た目もカッコイイ。 サイズは52 x 159 x 122 mm、Kontrol 1同様に大きなノブが上部に設置されていて、アウトプットの 1/2ボリュームコントロール機能が備えつけられている。フロントパネルには、 それぞれライン/インストルメントセレクターと、ゲインコントロールと共にXLR -1/4"インプットの2つのコンビネーションが搭載されている。それぞれ別々のボリュームコントロールと 1/2 又は 3/4モニターチャネルのセレクタースイッチ、そしてヘッドフォンのアウトプットだ。その隣には、セレクターとモノスイッチのついているモニター用のボリュームノブがある。リアパネルは48vものファンタム電源で、USBコネクション、MIDIイン/アウト、SPDIFイン/アウト、 インプット3/4 とアウトプット 1/2/3/4の為の1/4"ジャックが搭載されている。アナログの為のコネクションは全てバランスよく作られているのだ。 今回MacBook Pro 2.66 Ghzと4GB RAMをOS X 10.6.7を使って試してみた。比較的時間のかかったインストレーション(そしてサービスセンターでのアップデート)の後、Audio 6はGarageBand、iTunes、Live、Logic、Reasonなど様々なプログラムに対応している。 レコーディングのセットアップも極めてシンプルだ。フロントインプットにプラグインし、ライン・インストルメントレベルをセレクトすれば、あとはインプットのゲインノブを調整するだけだ。トップパネルにあるLEDライトが、インプット/アウトプットそしてモニターの状況などを事細かに示してくれる。Ableton Liveに入っているギターやボーカルの呼び出し時間などを検出する機能がなかった。呼び出し時間で常日頃困っているなら、モニターコントロールを使って、ダイレクトインとパソコンのアウトソースをブレンドする事が出来る。つまり、生のギターインプットを聴きながらパソコンからの音源を同時に聴く事ができる。究極的に言えば、トラックバックや、ミックス作業をしながらギターインプットにパソコンからのエフェクトをそのまま入れることができ、ドライなものも、編集を加えたものも聴くことができる。モニターのボタンが入っている状態で、モニターシグナルをアウトプットしている間に 1/2, 3/4や 1/2/3/4へ循環し、LEDライトで現状況を把握することができる。モニターのモノスイッチは、ギターやシングルマイクなどのモノソースに使うことができる。 NIの以前のハードウェアよりも良いと評判なのが、オーディオ自体のクオリティーだ。私自身、以前のモデルを持っていないのだが、他のマニュファクチャーのUFBカードのものと比較しても、断然美しいのはAudio 6だ。個人的には、もう少し値の張るDuetの限定版の方が「かわいらしい」音がすると思うのだが、その他のUSBと比べると、よりディープで粗さも少ないサウンドになっている。ギターやマイクなどのシンプルなレコードインプットではDuetを使うことをお薦めするが、ライブなどといったフィールドレコーディングの場合、Komplete Audio 6の力が遺憾なく発揮される。 一見してKomplete Audio 6は、例えばApogee DuetやRME Babyfaceなどのように洗練されて見えないが、他のものの様に合理化されたルックスが、ぼろぼろのブレイクアウトしたケーブルのせいで損なわれてしまうなんてことはない。そう、Komplete Audio 6ではケーブルが一つのボックスにきちんと入っているのだ。 コンパクトで強靭な見た目のデザインは、その中身の頑丈さも表現している。私のバッグの中に何日間も入っていたにも関わらず、部品がひとつも取れてしまうことなんてなかったからだ。「DJだけしたい」という方には、ウルトラモバイルキューイングセットアップ機能を搭載しているNIのAudio 2を強くお薦めしたい。しかし、なんでもかんでも試してみたい、そんな方には、Audio 6は持ってこいの商品だ。 Ratings Cost: 4/5 Versatility: 5/5 Sound: 4.5/5 Ease of use: 4/5
RA