FRUE - Psyche Constellation 精神の星座 -

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  • ThomashやMorphosis、Vesselといったダンス・ミュージック系のアーティスト以外にも、Helmeto PascoalやJohn Medeskiを招聘するなど、毎回趣向を凝らした音楽体験を提供する不定期パーティー、FRUE。3月18日に渋谷 WWW Xにて開催された同イベントは、“Psyche Constellarion-精神の星座”と題し、音楽だけでなく映像作品の上映を盛りこんだ意欲的な内容となった。イベントは夕方から終電前までというデイ・タイムに行われ、前半は映像作品の上映に続き、FRUEでは馴染みの深いPedro Maiaによるライブ・シネマショウ。後半はSvrecaのDJにPedroが映像を加えてのダンス・タイムという二部構成となった。前半部ではフロアに椅子が並べられ、さながら上映会といった雰囲気。最初に上映されたのは現代作家・田村友一郎による作品で、GoogleのStreet Viewの映像素材をもとに、ナレーション、ラジオ音声、音楽を付け加えて編集することで、あたかも別のロード・ムービーを作り上げるという内容。まだ会場して一時間足らずだが、客席の椅子は徐々に埋まっていく。ラウンジ・エリアではYouForgotやShhhhhらがプレイしており、こちらも大賑わいだった。そしてメインの客席に戻るとPedro Maiaのライブ・シネマショウがはじまっていた。3台のフィルム映写機を用いて、3つの映像を掛け合わせ、モノトーンから極色彩へとアブストラクトな心象風景のような映像を作り上げる。無音のなか“カシャカシャ”と映写機がフィルムを巻き取る音が客席に響き渡っていたが、のちにシンセサイザーの音色が流れ出して映像のスピード感も上がっていく。SE的なサウンドはあるものの基本的には映像主体の表現でありながら、後半になると見事なまでのカタルシスを創出。映写機がフィルムを巻き取り終わる音とともにライブ・パフォーマンスが終わると、会場からは大きな拍手が起こった。 後半は客席を撤去し、ダンス・フロアとなったステージにSvrecaが登場。フロアを眺めるとデイ・イベントというせいもあってか、普段のFRUEよりも少し若い世代のお客さんも多い。スタートからしばらくは映像はなく音のみで、彼の奇怪な電子音が作り上げる世界観がまるでSFホラーのように感じたのは、筆者が最近ハマっている海外TVドラマ「Stranger Things」の影響かもしれない。同作を知らない人であればStephen Kingの小説の世界と言えば分かってもらえるだろうか。この世界観がとにかくカッコよかった。ホラーチックなサウンドに美しい音色もおりまぜて世界観を構築しては、破壊していくあたりに、Svrecaらしい美学を感じた。さらに今回はオーディエンスを突き放すように圧倒するというよりも、フロアを内包していくような雰囲気をもったサウンドであったことも付け加えておきたい。途中からPedroによる映像が加わると、サウンドのテンションもグッと上がる。Svrecaとのセットでも先ほどのライブ・シネマのような、フィルム的なモーションが見受けられたが、画家であるYuriko Shimamuraの作品をスーパー8mmで撮影した素材を使っているとのこと。このフィルムを使ったアブストラクトな質感は、Pedroの映像表現の根幹のひとつなのだろう。DJセットの後半でストレートなテクノセットへと移行すると、Pedroの映像もモノトーンで硬質な風合いへと変化する。その後は再び音のみになると、短めにビートを切りながらも淡々とかつビルドアップさせるサウンドで、オーディエンスを煽っていき、合計で約4時間のセットを終焉へと導いた。 今回のイベントで興味深かったのは、WWW Xのサウンドシステムで聴くことでSvrecaのDJに新しい発見があったこと。もちろんDJのたびに彼の印象は異なるが、これまでのFRUEのベニューでもあった代官山UNITのシステムで聴いたときはもう少し繊細な印象もあった。だが、WWW Xにインストールされているシステムはロック系バンドにも愛用されるL-Acousticsということもあり、スピーカーのキャラクターのせいか骨太でダイナミックな印象が残った。もうひとつ、このスピーカーの豊かな低域再生能力のおかげで、Svrecaの低域へのこだわりをより明確に感じ取ることもできた。特にDJセットの前半の2時間くらいはイーブンなキックを介在させずに、ベースを主体としたり、変則的なビートを用いながらも、テクノ的にグルーヴを構築。その多彩な表現は圧巻だった。もうひとつ、映像と音楽にフォーカスしたダンス・ミュージック系のイベントはDJやライブに合わせてのVJ、もしくはライブ・ペインティングという行為に終始することが多いが、今回のFRUEはPedroによる映像主体のライブ・パフォーマンスを敢行した点も特筆すべきだろう。SvrecaのDJももちろんだが、Pedroの素晴らしい映像パフォーマンスが加わることで、いわゆるダンス系イベントでは味わえない貴重な体験をもたらしてくれたのだ。