Berlin Atonal presents New Assembly Tokyo - Day 1

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  • 音楽フェスティバルとして、Berlin Atonalは常にカウンターカルチャー的表現の限界を押し広げてきた。ドイツにて東西冷戦時代の終わりにスタートしたこのフェスティバルは、アヴァンギャルドでアンダーグラウンドな音楽が国境を越えて繁栄することのできる環境で、実験の新たな領域を切り開いてきた。それから35年が経ち、Atonalはベルリンの壁の影を拭い、眩い東京に上陸。ヨーロッパの外では初の開催となったこのサテライト・イベント「New Assembly」は、Alessandro Cortini、Merzbow、Rashad Becker、DJ Stingrary、Atsuhiro Itoといったローカルと国際的な実験的アーティストを交えて、3日間渡り開催された。期待高まる中、筆者は六本木のSuperDeluxeで開催されたNew Assemblyのオープニングイベントへと足を運んだ。 Rie LambdollとMayukoから成る大阪出身のデュオSynth Sistersからプログラムはスタート。白い服に身を包んだ2人は、ステージ上で青く蛍光色に光っていた。即興によるセットは、水のように滴るシンセのメロディーに、Tangerine Dreamを想起させるアルペジオが渦巻くような内容。天使のように美しく悲しげな歌声を放つRie Lambdollは、音に没入しながら時折上を見上げていた。 瞑想的なニューエイジアンビエントを披露したSynth Sistersに続いて、ノイズアーティストPuce Maryが登場。彼女はオーディエンスを一気に闇の中へと引き込んだ。のこぎりで削るかのように弓で激しくヴァイオリンを弾く様子は、楽器を弾いているというよりも、歴史上のあらゆる女性の怒りを表現しているようにも感じた。赤いライトで染まったステージにはストロポが激しく焚かれ、フィードバック音、ホワイトノイズ、そして彼女の感情的で息が詰まるような声が鳴り響いた。その様子は悪魔的かつカタルティックであり、この夜で一番印象に残るアクトだった。 転換の時間を挟み、Nine Inch Nailsのコラボレーターとしても知られるAlessandro Cortiniがステージに登場。この日は彼のオーディオヴィジュアル・パフォーマンス「AVANTI」の日本初公開の舞台となった。このプロジェクトは、忘れ去られた家族の思い出を追体験するというノスタルジック・レクイエムに着想を得たもの。この世を去った彼の祖父がSuper 8(8mmムービーカメラ)で撮り貯めた家族の記録映像に、ファジーなシンセとメランコリックなドローンのテクスチャーが添えられた。映像は壁一面を覆う3枚のスクリーンに投影され、子供のCortiniが手押し車で遊んでいたり、イタリアの田舎ではしゃぐ様子、海辺でのピクニック、そして結婚式の映像などが流れていた。これらのシーンは過去のものだが、パフォーマンス自体は、明るい未来に向けた物語の始まりを創造していた。それは、一貫して前方を向いてきたこのフェスティバルにふさわしい初日の締めくくりであった。Synth Sisterのスペクトラルな嘆き、Puce Maryのアナルチックな怒り、Cortiniの明日に対する控えめな望み。全3組のアーティストは、サウンドに宿る感情的可能性を極限にまで広げていた。 Photo credit / Jun Yokoyama