Kaitlyn Aurelia Smith & Suzanne Ciani - FRKWYS Vol. 13: Sunergy

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  • 今年の初め、Kaitlyn Aurelia Smithにインタビューしたとき(英語サイト)、LA拠点のミュージシャン/コンポーザーである彼女はTerry Rileyの音楽に惚れ込んだ理由を次のように語ってくれた。「『すごい・・・。宇宙みたいな音がする。DNAみたいな音ね』って思ったのを覚えている」。『FRKWYS Vol. 13: Sunergy』を聞いていて何度も思い浮かんだのがこの発言だった。彼女の師であるシンセ界の著名なパイオニアSuzanne Ciani(英語サイト)や彼女の友人とのコラボレーション作品はモジュラーシンセによる即興演奏を通じて宇宙とそこで自然発生する混沌を探求しているかのような響きを携えている。 Smithの生前からCianiが興味を示してきたのは大海原とそのサイクルだ。そして彼女の興味が今回のコラボレーションにも息づいている。しかし、今年発表された傑作『EARS』(英語サイト)とCianiのクラシックである『Seven Waves』では解き放たれるシンセのメロディ・シーケンスがテクスチャーと同等に駆使されていたのに対し、今回の収録曲は抽象的に描かれている。23分間に及ぶ"A New Day"はそのトラックタイトルが暗示するとおり、希望と未知なる緊張感と共に始まり、ローエンドが満ち引きしながら、泡立つシンセノイズがそのまわりを旋回する。12分を過ぎるころになるとメロディ・フレーズが具現化され、ざらついた機械音の構造やノイズの波が生じるが、そこからすぐに輪郭がぼやけていき、談笑しているかのような不規則なモジュラーサウンドに変化する。とても面白いのだが、やや焦点の定まっていない印象だ。オールドスクールなシンセのレコーディングのように、このトラックで主に示されているのは意図的にサウンド生成能力を持った機材をコントロールすることではなく、その機材そのものだ。70年代と80年代には新たなテクノロジーを発見する喜びと共にそうした可能性を捉えたレコードがCiani自身の作品も含めてすでに数多く存在している。 ボーナストラック"Retrograde"では温かみと奇抜さが増しているものの、音色と軌道の面で広範な見方が示されている。こうした一面はスタジオで作業するSmithとCianiによる微細なルームレコーディングと並んで、トラックに魅力的な没頭性のある広がりをもたらしている。『FRKWYS Vol. 13: Sunergy』で音楽性と抑制度において突出しているのが"Closed Circuit"だ。リズム的なメロディ要素が繰り返し奏でられ、その軽快なパターンの隙間を繊細で自由に流れるハーモニー要素が色づけている。重力を感じさせない同トラックはその後海中へ潜りこんでいく。そしてCianiの繰り出す音波の下からゆっくりと上昇し、回転したり、水面を跳ねたり、ひるがえったりしながら展開していく。ふたりのようなスキルのあるアーティストに期待する決然としたサウンドデザインとダイナミックな構造を兼ね備えたトラックだ。そしてさらに重要なのは、"Closed Circuit"を聞いていると何度も聞いていられるストーリーをSmithとCianiが語っているように感じられることだろう。
  • Tracklist
      01. A New Day 02. Closed Circuit 03. Retrograde (Bonus Track)
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