Various ‎- Chromophore

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  • 「ゆっくりやればいいのさ」。今年の1月、Slow LifeのDJ TreeがRAのインタビューでそのように発言している。傍目からすれば、同レーベルのアーティストはあまりにもこの言葉通りに行動しているように見える。物事が遅延することはレーベル設立当初から日常茶飯事で、1枚目がリリースされたのは奇妙なことに2枚目のリリースの数か月後だったくらいだ(わざと遅らせたのでは? と推察したDiscogsのユーザーがいたが(英語サイト)、実際の理由はプレス工場の倒産だった)。それから2年以上が過ぎ、Slow Life初のフルレンクス・コンピレーション『Chromophore』が発表された。コンピレーションということで当然ながら、この作品はSlow Lifeの描く世界をこれまでで最もはっきりと映し出しており、同レーベルの伝統に根差したサウンドをこれから知ろうという人にとって打ってつけの1枚だ。 もともと昨年の11月にリリース予定だったが、今年の5月まで店頭に並ぶことがなかった『Chromophore』は、現行のディープハウスとは大きく異なるディープハウスを収めたコンピレーションだ。複数の要素の込み入った、タイトに組まれたビートが、意匠を凝らしたベースラインとギラつくシンセに組み合わされている。各トラックで使われている素材はどれも注目に値する。制作者はミニマルなアプローチを取っているものの、トラックの音数が特に少なくなっているわけではない。その好例は、Slow Lifeのスウィング・マスターS.Moreiraによる、本作で最も無駄のない歯切れのいいリズムだ。"Clean Or High"、"C2M"、"Elevate"では、ベルリンを拠点に活動する彼の透き通ったスキルによって、効果的でハイエンドなパーカッションが耳馴染みのよくあからさまではないメロディに組み合わされている。 『Chromophore』で最も濃密な瞬間は、ふたりのベテランSeafoamとA²の新曲によってもたらされる。図太いベースラインとシャッフルするビート上にシンセが積み重なる"Raz"と"Knotted"は、An Alien、Groovepressure、Guidanceといったレーベルからふたりが発表した人気のトラックを彷彿とさせる。Mick Welch、Saverio Celestri、Luis Malonの提供曲は抑制した路線に進んでいる。以上のトラックを収録した本作は、Slow Life特有のみずみずしくリズミカルなサウンドを土台にしながら、レトロな色彩を帯びたハウスを広範囲にわたって見事に探求するコンピレーションとなっている。
  • Tracklist
      01. Mick Welch - Serenity 02. Luis Malon - Good Morning 03. S.Moreira - Clean Or High 04. Seafoam - Raz 05. A² - Knotted 06. Primary Perception & S.Moreira - C2M 07. S.Moreira - Elevate 08. Saverio Celestri - Jez Zie