Francesco Del Garda & Seuil - Bubble

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  • Francesco Del GardaがDJをすると、レコードオタクたちは彼がかけるトラックの正体を必死で知ろうとする。Del GardaはそういうタイプのDJだが、彼のディスコグラフィーはそれほど多くない。一方、Seuilは10年に渡って途切れることなくレコードをリリースし続けており、極めてクリーンなミニマルハウスを頻繁に生み出している。高精度のサウンドや分離のいいミックス処理が特徴となるスタイルでは、好みによって、それが正確無比なサイケデリックとして映るか、恐ろしくつまらなく映るかが分かれる。しかし、この音楽性に磨きをかけた多くのプロデューサーはより新鮮なサウンドへ目を向けている。ふたりが手掛けたEP「Bubble」はまさにその好例だ。シンコペートするベースラインとエレクトロへの傾倒というふたつの要素は、オフビートで組まれる909のハイハットによって引き立てられて最高の状態になる。"111"の3分頃をチェックしすれば、そのことが分かる。この組み合わせはDel GardaのようなDJのセットでは一般的になってきており、「Bubble」のようなEPは、エレクトロ、プロトIDMテクノ、初期テックハウスなど、90年代の多様でニッチなタイプに根付いたサウンドに合わせる現代のトラックとして制作されている。しかし、背後に潜む音楽の系譜をたどったところで、本作の全体的なテクスチャーとサウンドが非常にモダンであることに変わりはない。 本作のDel GardaとSeuilはすべてを適格に捉えているが、少しクリーンになり過ぎている感はぬぐえない。しかし、サウンドシステムを通じてレコードから音楽が流れると、タイトで整ったサウンドデザインが真価を発揮する。"222"では乾いた808サウンドと低音がエレクトロのように素早く躍動しているが、トラックはシンセワークによってアンビエントテクノやディープハウスにも紐づけられている。同時に構造やムードには頑としてミニマル的な性格がある。"333"も同様の路線を進んでいるが、こちらで使われているのは、より俊敏で弾力性のあるベースラインと、颯爽と動き回る面白いディテールだ。聞きどころはブレイク後だ。4つ打ちとなってキックが戻って来ると、他のリズムや素材に異なる印象が生まれている。スウィングするトラックが収録されたAサイドは、Bサイドの要素を組み合わせて直線的で前進感のあるアレンジに変えたものだ。「Bubble」は全体的にかなり控えめだが、クラブ環境ではぐらつく土台部分が際立つ1枚だ。
  • Tracklist
      A1 111 B1 222 B2 333
RA