Silvestre - Floresta EP

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  • 新人プロデューサーにもかかわらず、Silvestreのサウンドは年季が入っている。日本のレーベルDiskotopiaと自身のPadre Himalayaからリリースを重ねる中、彼は薄暗くローファイなダウンテンポと戯れ、そこへ人気のレコードが針飛びしたようなほつれたビートや粗削りなサンプルを頻繁に放り込むんでいる。彼にとってDiskotopiaから2枚目のEPとなる「Floresta」では、これまでで最も親しみやすい音楽が制作されいるが、ドラムループと曇ったリードシンセによる濃密なタペストリーが編み込まれているため、そこに違和感はまったくない。 そのことは"Floresta"で旋回するドラムトラックを聞けば分かる。トライバルなハウスミュージックの変異形のようなサウンドだ。放り込まれているようでいて完璧にアレンジされているパーカッションのレイヤーに意識を飛ばされそうになる。各素材は1小節内にしっかりと収まったかと思うと、その次にはバラバラに解けていく。彼が似たような音楽を作り続けることは滅多にない。"Gosto De Ti"はまったく違う系統のトラックで、多めのハンドパーカッションによって支えられたストレートなハウスビートが披露されている。"Gosto De Ti"の最後でもトリッピーなモジュレーションがかけられている。それはまるで、Sivestreが間違ったスピードでトラックを再生し続けているかのようだ。どちらのトラックでもMount Kimbieスタイルの平坦なシンセが使われていることで、心地よさが増している。 一方、"Camisola Dos Morcegos"は少しゆったりとし過ぎている。浮き沈みするドラム、きらめくシンセ、そして、鳥のさえずりによる一連のサウンドは数年前のL.I.E.S.作品でテンプレートになっていたものだ。しかし、"Ride"では悪い流れが断ち切られている。ほぼビートレスの同トラックは本作で最も突出しているかもしれない。各素材をまとめ上げるドラムは使われておらず、延々とループが反復しているが、スクラッチノイズを含んだサンプルがくしゃくしゃになっていくサウンドにはうっとりしてしまう。どのトラックにおいても新しいアイデアやサウンドが披露されており、思いがけぬ方向へと優しく引き入れてくれる。
  • Tracklist
      01. Floresta 02. Gosto De Ti 03. Ride 04. Camisola Dos Morcegos
RA