Blind Observatory - Way Over Yonder

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  • M_Recは素晴らしいレーベルだったことを考えれば、主宰者であるMax_MことMax Magriniが昨年5月に亡くなったとき、レーベルに良作が残されていたとしても何ら驚きではない。Blind Observatoryによる「Way Over Yonder」は、同レーベルからリリースが予定されていたレコードだ。Magriniがベルリン拠点の彼に声をかけていた理由は容易に分かる。M_Rec作品の多くと同様、彼のテクノスタイルはコズミックであると同時にソウルフルで、宇宙を感じさせながら、人間的な感情で彩られているからだ。「Way Over Yonder」はBlind Observatoryにとって画期的な作品のように感じられる。これまでに彼がソロでリリースしているのは、I/Yからの人気12インチ「And The Flying Saucer」のみだ。Magriniが亡くなったからといって他のレーベルに話を持っていく気になれなかった彼は同作をリリースしないでおこうと思っていた。しかし、友人からの助言もあり、彼は自ら同作をリリースすることにした。つまり、Gravitationalと名付けたレーベルを立ち上げ、その1枚目として発表したのだ(Bサイドには"In Loving Memory"という文字が刻まれている)。 "Way"、"Over"、"Yonder"はひとつながりのトラックを3つに切り分けたような印象だ。作りが似ており、スペーシーなパッドと上昇していくアシッドラインがゆったりとしたバウンシーなグルーヴに乗って漂っている。4つ打ちが刻まれることはなく、1小節に多くても2拍までしかキックは打ち込まれない。それにより広々とした構造ができあがり、視界の開けたコズミックな景色が生まれている。その一方で、トラックごとに異なる感情がかき立てられる。"Way"と"Yonder"は痛ましく内省的で、"Over"は壮大で神々しい(このトラックはCarl Saganがナレーションする"Pale Blue Dot"にぴったりのサウンドトラックになるだろう)。3曲がまとまると、刺激に満ちた有望なアーティストによる強力な音楽提示になる。そしてそれはMax_Mの偉業の一部でもある。本作が日の目を見ることになったことを嬉しく思う。
  • Tracklist
      A1 Way B1 Over B2 Yonder