Moomin - A Minor Thought

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  • Smallville作品の大半と同様、Moominの作品も聞いた瞬間に馴染みを覚えるものだ。繊細なドラムサウンド、情感豊かなストリングス、ささやくようなホーン、水彩画のようににじむパッドなど、彼のレコードをプレイしたときにどんなサウンドが鳴るのか想像できる。だからといってそれがMoominにとって問題になることは一度もなかった。彼のサウンドは極めて親しみやすく、好みが違っていたとして否定しづらいものだ。Moominは、柔らかな手足でパタパタと音を立てているようなドラムサウンドを生み出す手腕や、ヒップホップを聞いてきたことによるサンプリングセンスを持ち合わせている。そして彼はSmallville屈指の一貫性を誇るアーティストでもある。そのため、セカンドアルバム『A Minor Thought』がファーストアルバムにとても似ていることは驚きでもなければ、不満の原因にもならない。 『The Story About You』を聞いているなら、『A Minor Thought』の1曲目"123"にデジャブを感じることだろう。始まり方も全く同じで、打ち寄せる波がドラムトラックへと展開していく。以前と同じことをするのは安易と言えるかもしれないが、同時にそこには安心感がある。何度も使われているサンプルネタや、くぐもった響きのホーンにより、Moominはお馴染みのサウンドをしっかりと聞かせてくれる。いつも通りおとなしくはあるが、"123"はいつもより少しだけ陽気に感じるカウベルを無邪気にまき散らしながら、滑らかなドラムパターンに乗って展開していく。Moominが描く穏やかな水面では、ちょっとした水滴でも大きな波紋が生まれるのだ。 "Woman To Woman"はMoominのトラックの中で最もキャッチーかもしれない。R&Bクラシックからサンプリングしたと思われる、記憶に残る心地よいベースラインを中心に据えたこのトラックは、古めかしい音質をしたオーケストラのサンプルで締めくくられている。アルバムのピークはトラックリストのど真ん中に位置する"Woman To Woman"だ。このトラックの前後には、シンセとサンプルによるかわいいメロディが泡立つ"Alone"や、Moomin作品の中で最もLarry Heardのサウンドに似ている"Chemistry"、そして、そよ風に乗っているかのようなリズムギターと共にゆっくりとディスコを展開していく表題曲が収録されている。ほとんど変化をつけずに、土台となるアイデアを膨らませていくMoominは非常に印象的だ。 一通り『A Minor Thought』を聞いただけでは、単にいつものサウンドを使ったSmallvilleのレコードだと思えるかもしれない。しかし、もっと注意して作品に耳を傾ければ、絶妙に調整され進化した世界があることに気付くだろう。本作は同レーベルのサウンド、つまり、暖かく招き入れるようなハウスを美しく描き出している。そこでは予測可能性が弱みではなく強みとなっている。『A Minor Thought』の魅力の根幹にはひとつのシンプルな考えがある-「前作を気に入っていれば、今回の作品も気に入るだろう」。それはSmallvilleのモットーと呼べるものだ。
  • Tracklist
      01. 123 02. A Minor Thought 03. Loop No. 1 04. Morning Groove 05. Woman To Woman 06. Alone 07. Stotheh 08. Chemistry 09. Time To Reflect 10. You Neva Know 11. Unshape