Population One - Temporary Insanity EP

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  • 2014年4月、Terrence Dixonが音楽制作から身を引くことを発表した。ところがそれ以降もPopulation One名義や(英語サイト)、Fred P、Michael Zucker、Einkaといったプロデューサーとのスプリット盤を含む9枚のEPの他、Rush Hourから『Theater Of A Confused Mind』(英語サイト)がリリースされている。昨年12月、私はどういう状況なのかを明らかにしようとDixonにメールを送った。しかし現時点で言えるのは、彼独自の鋭く張り詰めたミニマリズムが生まれ続けているということだけだ。そして、それを不満に思う人は少ないだろう。 非常に偏執的で辺境的なサウンドによるスレンダーな高速テクノを披露した「Hippnotic Culture」のように、かつてPopulation Oneの12インチは、Dixonが持つ最も異質な性質を上手く捉えていた作品だった。最近のPopulation Oneは全くの別人格というよりも装いを変えているような印象だ。この点を明確に示しているのが、最新トラックに収録された"Temporary Insanity"だ。Dixonがこれまでに手掛けた作品中、極めて明解なダンスフロア仕様のトラックになっている。909のハイハットラッシュと大脳直撃のキックにより、濡れた書物のようにべったりと引っ付き合うベースパッドが支えられている。凍てつくループと奇怪なテクスチャーの影になって、落ち着いたパーカッションの存在感が薄くなっているが、力強い楽曲構造が持つ異質性は魅力的だ。"Multiple Choice"では馴染みのあるサウンドが提供されている。ひんやりとしたメロディの下方では、スムーズな音色のベースが途絶えることなく上下しながら狂気じみた軌道を描き、不協和なブリープシンセの向こう側で柔らかなキックが拍を刻んでいる。けたたましく、いくぶん辛辣な音色が使われているが、他のプロデューサーがやると不快になりそうな要素こそDixonの持ち味だ。
  • Tracklist
      A Temporary Insanity B Multiple Choice