Kuniyuki & Jimpster - Kalima's Dance EP

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  • ハウスからジャズやファンクとの間を自由に行き交う和製レーベルであるSoundofspeed Recordsの新作は、予てからレーベルと深く関わり持っているKuniyuki TakahashiとJimpsterことJamie Odellのコラボレーションにより完成した。このレーベルは以前からもコラボレーション企画を積極的に行っていたが、今回は特にその中でも最もベストな企画ではないだろうか。ご存知の通りKuniyukiはプログラミングだけでなくキーボードや笛に打楽器などもプレイするアーティストであり、JimpsterもかつてはTha Baysというインプロヴィゼーション・バンドでキーボードを担当するなど、お互いがDJというよりは演奏家としての経験に裏打ちされたアーティストであり、その観点からもこの共同制作の相性の良さは最高なのだ。 タイトル曲の"Kalima's Dance"はその言葉通りにダンス路線の曲だが、落ち着いた4つ打ちにクラップや細かいスネアを含ませる事で、弾けるリズム感を打ち出したジャズ~ファンク色も伴うハウスだ。奥ゆかしいローズや華麗なメロディと原始的なパーカッションを配置しながら、次第にリズムは崩れながらしなやかなブロークン・ビーツへと転身する展開は、ライブ的なノリを存分に含んでいる。一方で"Water Lily"はしっとりと微熱を帯びたダウンテンポで、荘厳なストリングスの音色の中から一発録りのようなライブ感のあるキーボード使いが主張をし、ゆったりと感動の高みへと達するシネマティックな世界観は壮大でさえもある。そして裏面には両者が"Kalima's Dance"を再構築したバージョンが収録されているが、この2曲を聴く事でより両者の個性を理解する事が出来るだろう。"Jimpster Version"はオリジナルから大きく乖離する事はなく、むしろフロアでの使い易さを意図するようにリズムを均して4つ打ち色を前面に出し、洗練された幻想的なディープ・ハウス性を重視している。対して"Kuniyuki Version"は彼らしい生っぽいキックやパーカッションを使用して野性味さえも発するブロークン・ビーツ風のハウスへとがらっと生まれ変わっていて、複数のアーティストでライブをしているかのようなセッション性はこれぞKuniyukiの個性と呼べるものだ。こうして4つの楽曲を聴いてみると本作は単にコラボとしての物珍しさだけでなく、互いの音楽性を存分に発揮しながらそれが相乗効果として働き、そしてレーベルが指し示す音楽性にも沿っている意味で上手くはまった企画なのだ。
  • Tracklist
      A1 Kalima's Dance A2 Water Lily B1 Kalima's Dance (Jimpster Ver.) B2 Kalima's Dance (Kuniyuki Ver.)