Abdulla Rashim - A Shell Of Speed

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  • ストックホルムのレーベルNorthern Electronicsが最も得意としているのはディープで内省的なテクノだということでほぼ間違いない。しかしながら、彼らは激しいサウンドをリリースすることもある。レーベル設立者であるAbdulla Rashimによる2枚組EP「A Shell Of Speed」には、その最新例が収録されている。磨き抜かれた特大アシッドトラック"A Shell Of Speed"を聞けば、多くの人が本作に手を伸ばすに違いない。Rashimがこれまでに発表してきたオリジナルソロ作品の中でおそらく最も強烈なインパクトを持つトラックだ。何年もレーベルからメロウなサウンドが発表されてきたが、このトラックは真のレイヴサウンドへと至る扉を遂に解き放った。 "A Shell Of Speed"が最初に公開されたのはFunctionによるミックス『Berghain 07』の終盤だ。一際素晴らしいミックス作品の中で一際素晴らしい選曲だった。このトラックを聞くと同じく高解像度の傑作が数曲思い浮かぶ(とりわけ、今年前半に発表されたSvrecaの"Mountain Splitter"がそれにあたる)。どちらも上手く使えば一夜を決定づけるポテンシャルを持っており、いつまでもクラバーたちの心に感動を残し得るトラックだ。「A Shell Of Speed」がテクノDJにとってマストアイテムなのはこのためだ。 「A Shell Of Speed」に収録された他曲は百戦錬磨のNorthern Electronicsスタイルによるパーカッシブなディープテクノだ。"Red Pool"と"Crossing Qalandiya"は特に強烈で、鼓動するローエンドとつんのめるリズムから構築され、スペーシーなサウンドのコラージュが散りばめられている。よりアップビートな"Ador Tracers"はおそらく本作で二番目にディープテクノから遠ざかっているサウンドだ。何とも形容し難いパンクな感覚があり、その要因を特定するのは難しいのだが、高らかに鳴り響く金属的なドラムと、リバーブをかけて粉々にした声のようなサウンドがその一因だろう。ここ数年、VargやAcronymといったアーティストがテクノ界隈で注目を獲得する間、Rashimはその陰に隠れて裏方的存在になっていた。「A Shell Of Speed」のような作品は、彼が今でも表現する要素を数多く持つディープテクノマスターであることを思い出させてくれる。
  • Tracklist
      A1 Ultimate Reality A2 A Shell of Speed B1 Scania Floods B2 Ador Tracers C1 Separation of Senses C2 Red Pool D1 Crossing Qalandiya D2 Internal Fall