Laurel Halo - In Situ

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  • 2010年のLaurel HaloによるEP「King Felix」(英語サイト)以降、彼女が次にどんな路線のエレクトロニックな抽象性を手掛けるのかを予測するのは不可能になった。レフトフィールドなベッドルームポップ、親近感のあるアンビエント、非従来型のテクノ ー Haloはそうしたサウンドを巧みに通り抜けながら自分自身のものにしつつ、プロダクションにおける稀有な卓越性を披露してきた。Hyperdubからの傑作アルバム『Chance Of Rain』(英語サイト)から2年、彼女にとって初となるHonest Jon'sからの2枚組EP「In Situ」は、ユニークに解体したプロダクションに溢れており、ミシガン生まれのアーティストである彼女が引き続き自身の本能に従っている姿を見ることができる。 Haloの多様なディスコグラフィーを見渡しても、同じことを繰り返しているサウンドをずばり指摘するのは難しい。彼女は従来と異なる構造やアレンジを好み、トラックは手作業で削り出されたディテールを持つサウンドで満たされている。「In Situ」の中核にあるのはこうした職人性だ。収録されたトラック8曲はフロア仕様のテクノに影響を受けているが、同時に、緩く不均衡だ。Haloは不明瞭なサンプルや解放されたメロディを加工しつつ、つんのめるようなリズムにより、トラックの勢いを保っている。リアルタイムで作業することで「In Situ」にはテクスチャーが生まれており、トラックが数小節過ぎ去る間に、新たなサウンドがもたらされたり、エフェクトを簡易に用いたりと、リズム要素に変化が加えられていることがほとんどだ。その動きは予測不可能だが、決して押しが強すぎたり煩わしかったりすることはない。 彼女のプロセスにより、様々な形と大きさが生まれる結果になっている。プロセスによって加工される巨大なキック、軍隊のようなスネア、そして、カタカタとしたリズム要素によって囲まれた、鈍いストリングスによるループを循環する"Leaves"は、Jan Jelinekの『Loop-Finding-Jazz-Records』に理屈抜きの肉体性を伴わせたトラックであるかのようなサウンドだ。"Drift"では、土台となるダビーな要素を引き伸ばし、粒立ちの荒いオルガンスタブとパンチの効いたマシンパーカッションで無気力なベースラインを覆いながら、簡単な実験作品を生み出している。「In Situ」を締めくくるのは、ソウルを焦がすジャジーなキーボードソロを中心に展開する"Focus I"だ。複数に重ね合わせた、小さなリズムディテールがちらつくシャッフルビート上に、Haloはメロディを紡いでいる。プロデューサーとしての技術面における能力が進化し続ける中、その過程で彼女が根本的な音楽性を失う恐れは一切無いということを、再認識させてくれる素晴らしいトラックだ。
  • Tracklist
      A1 Situation A2 Leaves B1 Nebenwirkungen B2 Drift C1 Nah C2 Shake C3 Nimrud D1 Focus I