Donato Dozzy - Cassandra

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  • 近年、素晴らしく多様なコレボレーションとソロ作品の数々に携わってきたDonato Dozzyだが、彼のニューシングルは保守的な印象だ。ディープで活き活きとしたテクノ"Cassandra"は確かにイタリア人アーティストである彼の膨大なディスコグラフィーにしっかりと収まるものだが、もしかすると「しっかりと」収まり過ぎかもしれない。『Voices From The Lake』『Plays Bee Mask』や『The Aquaplano Sessions』といった傑作が比較的まだ記憶に新しいこともあり、「Cassandra」は、何かが新たに持ち込まれているということはほとんど無く、取りあえず発表されたような印象だ。 レコードは2曲入りにはなっているが、Bサイドは実質、口琴によるバネのような音がディレイとリバーブに通して奏でられているだけだ。何故、Dozzyがこのトラックを収録することにしたのかは想像に任せるしかない。"Cassandra"では、『Voices From The Lake』や『The Aquaplano Sessions』的な引き締まったハードウェアビートによる静かな鼓動に、Dozzyらしさを感じることができる。BPM124に設定されたバウンスするグルーヴの奥では、時折、ふたつの音程から成るベースラインから瑞々しいディテールが泡立ちながら表れ、リスナーの鼓膜をはたいていく。非常に歯切れが良く、瑞々しく、そして、暖かみがあり、そのディテールに意識を奪われている間に、7分強という曲尺を忘れてしまうだろう。しかし、それはDozzyのような熟練のプロデューサーからしてみれば普通のことだ。"Cassandra"によって彼がファンを失うことはないだろうが、彼の信者ではない人を振り向かせることもなさそうだ。
  • Tracklist
      A1 Cassandra B1 II