Josef Gaard - Obsidian Falls EP

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  • シアトルの集団Secondnatureの一員であるNathan Levensonは、Abdulla RashimやVargの他、濃厚なアーティスト達と共にパーティーを開催している。Levensonの楽曲はスウェーデンのプロデューサーである彼らに準えることができる。Levensonが作るテクノはキックドラムさえほとんど聞こえてこないほどディープだ。筆者が彼のプロジェクト、Josef Gaardを初めて体験したTechnoistのポッドキャストでは、アブストラクトなテクノが直感的に繋ぎ合わされていた。ミックス同様、彼のプロダクションも手の込んだ作りで、ポートランドのレーベルBlankstairsに提供した「Obsidian Falls」では、何時間でも掻い摘んでいられそうな完ぺきなサラウンドテクノが収録されている。 一曲目"Perennials"では、漂うコードやバレエダンサーのように旋回するパーカッションといった優雅な素材を重ね合わせ、濃霧のごとくゆっくりと躍動させている。"Obsidian Falls"ではダブテクノ特有のコードが広がっていき、トラック全体がディレイエフェクトによって飲み込まれていく。一方、"Fjord"では映画Matrixのようなスローモーションで壮大なメロディが翻えっている。Levensonによる展開を抑えたアプローチでは、従来のテクノのようにビルドアップしていくのではなく、クライマックスに向けて徐々にトラックが膨張していく。彼のトラックはクラブトラックとしてだけではなくサウンドデザイン作品としても機能する。 今回最も強力なのは"Elysea"だ。ゆっくりと底無しのブレイクへとトラックが引きずり込まれ、そのまま貨車のように音をたてながら延々と続いていく。ほとんどのDJがプレイする気が起きないんじゃないかというくらいブレイクが長い。ようやくドラムの音が引き戻されと、まるで催眠術から解放されかのような気分になる。こうした特性があるからこそ、Levensonの空間的なテクノは似たようなサウンドをばらまく有象無象のプロデューサーとは一線を画しているのだろう。彼のスタイルにはハッキリとした前例が存在している(特にレーベルNorthern Electronicsがそうだ)。しかし彼の場合、新たな視点から聞き馴染みのあるサウンドに迫ることで、そのサウンドを完全に新鮮な響きに変えている。
  • Tracklist
      01. Perennial 02. Obsidian Falls 03. Elysea 04. Fjord 05. Obsidian Falls (Archivist Remix)