Soichi Terada - Sounds From The Far East

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  • 気付いているかどうかは別にして、何百万もの人々はSoichi Teradaの音楽を耳にしたことがあるはずだ。テレビゲーム『サルゲッチュ』のサウンドトラックとして世界中のゲーム機から聞こえてきた子供心のあるメロディを制作したのは東京に住む彼だった。それ以前にも、「ディープハウス・シミュレーター」とでも呼べるような音楽制作を彼は楽しんでいたようだ。というのも、90年代初頭から、TeradaのレーベルFar East Recordingsは、欧米のディープハウスそっくりのサウンドに特化してきた。そんなTeradaが制作した楽曲からHuneeがベストトラックをコンパイルしたのが『Sounds From The Far East』だ。加えて、Teradaの盟友Shinichiro Yokotaのトラックも数曲含まれている。 『Sounds From The Far East』を聴いていると、本作が音楽版アメリカ村だと思わせる場面がいくつかある。しかし、アメリカ村は、アメリカ的な風体を装っていながら、その中身の部分では日本人的なキャラクターが保たれているが、Teradaによるアメリカのハウスやガラージトラックは、オリジナルと全く区別がつかない。つまり、ホンモノと同じくらい素晴らしいのだ。力強く反復するピアノ、ディーバによるボーカルを用いた"CPM"は、Masters At Workさえも満足しそうなハウストラックであり、"Shake Yours"にもニューヨークの空気が取り込まれている。こうしたTeradaのニューヨークに対する深い愛情は、Larry Levanが彼のトラック"Sun Shower"をリミックスした時に報われることとなる。このトラックは1989年に、Teradaが日本人シンガーNami Shimadaのためにプロデュースしたものだが、本作では、ディスコのスタブ、歯切れのいいドラムフィルを加えて、細かい部分でMadonnaの"Vogue"に若干似ているインストバージョンとなっている。しかし、TeradaやYokotaは、アメリカだけにインスピレーションを求めているわけではない。YokotaはGaznevadaによるイタロクラシック"I.C Love Affair"の一部を使って"Shake Yours"を制作している他、"Purple Haze"、"Low Tension"、"Binary Rondo"はどれも、80年代におけるバレアリックの爽快なバイブスを感じさせる。 収録曲の中には、後のTeradaのキャリアを示唆しているものがある。例えば、"Hohai Beats"、"Rising Sun Up"、"Voices From Beyond"には、日本のテレビゲームのキャラに負けないくらい可愛らしさと愉快さがある。感情という意味では、こうした楽曲には多くの方向性が含まれていると言えるかもしれない。チル、アップビート、ジャジー、ディープ、ソウルフルといった要素を含むサウンドを、Teradaは等しく冷静沈着に制作できるが、通常、どのトラックのムードも、「陶酔的な喜び」を様々な形で表現していると言える。そのため、彼らのトラックを続けて聴くと非常に面白い。結果、全1時間に及ぶ『Sounds From The Far East』を聴いている間は、多くのハウスヘッズたちの顔に、笑顔が絶えなくなるだろう。
  • Tracklist
      01. Soichi Terada - Saturday Love Sunday 02. Shinichiro Yokota - Do It Again 03. Soichi Terada - Sun Showered 04. Soichi Terada & Manabu Nagayama - Low Tension (Alternative Version) 05. Soichi Terada - Hohai Beats 06. Soichi Terada - Good Morning 07. Soichi Terada - CPM 08. Soichi Terada - Rising Sun Up 09. Shinichiro Yokota - Shake Yours 10. Soichi Terada - Voices From Beyond 11. Soichi Terada - Purple Haze (Edit) 12. Soichi Terada - Binary Rondo 13. Soichi Terada - Into Desert