Ligovskoï - Dilip EP & Remixes

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  • 強烈で実験的なテクノの拠点として近年知られるようになったパリのレーベルDEMENT3Dは、新たなアーティストLigovskoïによる2枚組EP「Dilip」を迎える。Ligovskoïは、Nikolaï AzonovとValerio Seligによるプロジェクトで、DEMENT3Dからの彼らのデビュー盤(そして初となるフル・スタジオ作品)では、簡潔にして見事なメランコリーを伴ったアンビエント・トラックを作り出している。本作は涙を誘う一方で、DEMENT3Dのトレードマークである、澄み切ったサウンド・デザインが成されており、"Labiate"は作品の情景を作り上げ、ディストーションがたち込める中を柔らかなドローンが継続してなり続けている他、短いピアノのモチーフが用いられ、時折、低音が鼓動している。"Goha"は弔いの詩を聞いているかのようだ。終盤では、シンセが取り剥がされていき悲痛に響く短調の旋律が露わにされていく。"G.Y."と"Dilip"はよく似ており、引き伸ばされたサウンドとデジタル・ノイズが用いられている。"G.Y."の中盤では、遠方から聞こえてくる声の断片にエコーをかけたようなサウンドが加えられ、一方、絶望的に響くメロディ要素が漂う"Dilip"は、新たなスローモーションの在り方を提示している。 ビートに重点を置いたリミックス盤の最初に収められているのはIn Aeternam Valeによる不気味なアプローチで迫る"G.Y."だ。巧みにアレンジされたローエンドと、反復する鬱蒼としたコードによって、緊張感を増幅させている。昨年、同レーベルのPolar Inertiaのリミックスを手がけたAbdulla Rashimは、ディープでエモーショナルなテクノという自身のビジョンを、"Labiate"のリミックスに落とし込んでいる。氷河のようなオリジナル・バージョンと完璧に補い合う内容に仕上がっており、暖かな印象を与えるBPM90のトラックは、湧き立つサウンドが次々と重なり合っていく。本作を締めくくるのは、フロア仕様のコラボレーション・バージョン2曲だ。DEMENT3Dの設立者の1人Fracois XはAntigoneと共に、"Dilip"を上下逆さに裏返し、しなやかで躍動感のあるトラックに変化させている。同レーベルのもう1人の設立者HeartbeatとVoiskiによるプロジェクトHBTVSKは、"Goha"を11分近くに及ぶリミックスを仕上げ、シャッフルする執拗なリズムに組み合わせている。アンビエントが好きな人であれば、控えめに仕上げた前者2つのリミックスを選ぶだろう。もしくは、Ligovskoïによる息を飲むサウンドスケープの中に立ち尽くすことになるかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Labiate A2 Goha B1 G.Y. B2 Dilip C1 G.Y. (In Aeternam Vale Remix) C2 Labiate (Abdulla Rashim Remix) D1 Dilip (Antigone And François X Remix) D2 Goha (HBTVSK Remix)