Roman Flügel - Happiness Is Happening

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  • Roman Flügelの音楽は特定のイメージを持つことを嫌う。90年代初頭から、偏執的なまでに細部に注意を払った彼の作品は、これまで輝きを放っており、メロディを伴ったエレガントのタッチは、そのときに流行っていたジャンルが何であったとしても、常に的確なサウンドを約束してきた。彼が制作してきた中でもベストの作品をヘッドフォンで聞くと、点描画のようなサウンドが極上の形態へと変化していく面白い手法によって、奇妙な音楽世界へと吸い込まれる。 2011年、Flügelがリリースしたアルバム『Fatty Folders』は、決まりきった形式を求めないFlügelらしい姿勢で特徴付けられており、"How To Spread Lies"や"Song With Blue"のようなエレガントなハウスから、"Krautus"のようなゴージャスなニュー・コズミッシェ、"The Improvisor"での激しいアシッド・サウンドと陽炎のように揺らめく灼熱まで、自由に飛び回っている。そして今回、『Happiness Is Happening』と共にFlügelが帰って来た。驚くなかれ、今回のアルバムでは、ハウス、テクノ、90年代エレクトロニカの明るくポップな音色を解体、再構築し、リスナーの心をなだめ、しかし同時に別の場所に連れて行く、知的で中毒性の高いハイブリッドを生み出している。 近づいて観察してみると、各トラックでの安定したパルス音の下に隠れて、静かに、そして小刻みに動いている要素がたくさんあることに気付き、そちらに注意をそらされてしまうだろう。1曲目"Connecting The Ghost"は、衝撃的なアンビエント・トラックで、柔らかく、おぼろげなドローンが、主張力のあるインダストリアルなサウンドを中和している。"Your War Is Over"では、ぎこちないビートと拍を外して打ち込まれるテレビ・ゲームのブリープ音に対して、ディープなシンセが鼓動しており、さらに慌しい印象だ。"Parade"上には、合成ノイズによる奇妙に狂ったサウンドが散りばめられている他、ごろごろと音を立てる颯爽としたシンセを伴った"We Have A Nice Life"は、ゆっくりと生命が与えられていく前までは、『Pop Ambient』シリーズ用にデザインされたかのようなサウンドだ。"All That Matters"は、ゆったりと鳴らされる高域の音色と、半透明のパッドが生み出す流れの中を、揺らぎ漂っている。 しかし、これまでで最も変容していく音風景が描かれるているが、精通したガイドにしっかりとエスコートされている感覚がある。収録曲の並びも素晴らしい。ジャンル区分を拒絶するアルバムとして『Happiness Is Happening』は、素晴らしく自然につながりあった作品だ。20年近くキャリアを築いてきたアーティストの力がいまだにピークにあることを示している。
  • Tracklist
      01. Connecting The Ghost 02. Friendship Song 03. Stuffy 04. Your War Is Over 05. Wilkie 06. Tense Times 07. Parade 08. We Have A Nice Life 09. Occult Levitation 10. All That Matters