Auden - Trip To Fade

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  • Audenはイギリス・テクノの新人だとHotflushは言っているものの、今回のデビュー作が纏っているキラリと光るプロダクション・スキルや、偽名を使うシーンの傾向を考えると、Audenは他の名前で既にリリースしていると考えるのが当然だろう。実際、本作がHotflushの多用なディスコグラフィーに相応しい内容になっているということは、レーベルのメイン・アーティストが新たなサウンドに興味を持って、この作品を作ったのかもしれない。 ドスンと思いキックと大バコを満たすシンセを用いた今回の収録曲のほとんどは、テクノの公式に沿っている現在のレーベルに合わせた内容となっているが、最後の"Tension"は、2、3年前に遡った印象で、2ステップのビートをループや、芯まで震える重低音は『Triangulation』(英語サイト)の未収録曲のようなトラックだ。このトラックは、Audenが焦燥感のある空間を作るのを得意としていることを示しており、1曲目のビートレス・トラック"Trip To Fade"においても、ピッチシフトしたボーカルと音程が下降していくコードによる濁った空気で、同様の空間が駆使されている。しかし、全てはこの緊張感のせいで、デビューとなる作品の幕を開けるトラックとしては、奇妙なラフ・スケッチのような印象になってしまっている。解き放たれるために、4分間に渡ってキックを欲しているかのようだ。。 Audenはテクスチャーを生み出すことに優れているが、フロアで機能するには、活力に欠けるところがある。収録された4つ打ちトラック2曲の内、より強力な"Whispers"では、じめっとしたピアノ・コードの間を、ミュートされた303のサウンドがうねうねと動き回っている。"Flux"は、キックと短めのサウンドを用いた機能的なトラックだが、テンプレートから構築されたような印象がある。Audenの正体が誰であったとしても、匿名アーティストがやっているような、もっと冒険的なものなるよう、この機会を活かすべきだったと思う。
  • Tracklist
      A1 Trip To Fade A2 Flux B1 Whispers B2 Tension