Julius Steinhoff - Flocking Behaviour

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  • Smallvilleからのフルレンクス・アルバムと聞いて、そのサウンドがどんなものなのか、今となっては、想像することが出来るのではないだろうか。それは、ダンス・フロアでの機能性と心地いいホーム・リスニングという2つの境界を横断する眠たげなディープ・ハウスとなるだろう。この点はレーベル設立以来の音楽性であるとも言え、Christopher Rau、Moomin、STLなどSmallvilleのアーティストは全員、今日までの間に優しく抱きしめたくなるようなトラックを発表してきた。その背後で暗躍してきた存在なのが、レーベルの主宰者の1人であるJulius Steinhoffだ。その彼が今回、初となるソロLPで表舞台に姿を現した。 Smallvilleのもう1人の主宰者であるJust Von Ahlefeldと共にSteinhoffはSmallpeopleを結成しているが、Steinhoff単独の場合、Smallpeopleの作品よりもさらにディープな方向性に進む傾向があるようだ。その結果、これぞディープ・ハウスと呼べるサウンドに、さらに正確に言うならば、これぞヨーロッパのディープ・ハウスと呼べるサウンドだ。なぜなら、Smallvilleのサウンドは、Prescriptionのようなレーベルとは微妙に異なっており、Chez DamierやRon Trentがトラックにほとばしるスピリチュアルなソウルを注入している一方で、Steinhoffや彼の仲間は、よりのどかなスムーズな感覚を常に取り入れているからだ。 したがって『Flocking Behaviour』は洗練されたハウスLPなのである。細部にまで意識を払ったり、もしくは磨き上げることで、暖かく輝きながら温もりを生み出すアンビエンスに浸し込んだ作品だ。全てのメロディはまさにその通りであり、909キックの弾力性はありありと感じられ、各トラックが描く風景に散りばめられたリズムの質感は、鋭くハッキリと浮き出ており、けばけばしくなることは決してない。素材を削ぎ落としたスタイルでスタートする"Whre Days Begin"は、柔らかなタムが刻むサウンドが、ひんやりとしたハイハットの彼方へと消えていき、その下では、球状の形をしたベースラインがうねりを上げている。以降、各トラックのキックは若干ながら密着感を増し、より密度高めにリズムは詰め込まれ、ベースラインはさらに細かくアレンジされている。 レーベルを追い続けてきたファンにとっては驚くようなことはほとんどないかもしれないが、"Under A Waterfall"のようなトラックのべったりとした素晴らしさや、"Hey You"に広がる小刻みなメロディは、頑ななリスナーさえも解きほぐすことだろう。トラックはほぼ8分を超える長さだが、そこに倦怠感は一切ない。Steinhoffは常にしなやかで柔らかなシンセを重ね合わせた穏やかな睡眠性を生み出し、しゃっくりのようなドラム・サウンド、もしくは贅沢に作りこまれたパッド・サウンドによって、さらなる深みを持つレイヤーを加えているのだ。ともあれ『Flocking Behaviour』は意識を落ち着かせ、魂を暖める作品なのである。
  • Tracklist
      A1 Cheetah Nights A2 Under A Waterfall B1 Treehouse B2 All The Things You Are C1 Flocking Behaviour C2 Sun And Stars D1 Hey You D2 Where Days Begin