Various - I'm Starting To Feel OK Vol.6

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  • 2012年、RAのインタビューにて、Toshiya Kawasakiは自身の2つのレーベルMule MusicとEndless Flightの違いについて説明している。Kawasakiによると、Mule Musicは「より人間味のあるタッチ」を持った「有機的」なトラックに専念し、Endless Flightはサンプルを基調として生演奏を加えた「ディスコ風」サウンドを扱っているとのことだ。Mule MusicとEndless Flightの両レーベルで展開しているコンピレーション・シリーズの第6弾となる『I'm Starting To Feel OK』においても、この線引きは明らかだ。しかし、今回のサウンドを定義するのに「有機的」や「ディスコ風」という言葉はベストではない。CD1には12の空間系ハウス・ビートが収められ、CD2はポスト・パンクとクラウトロックに根付いたものになっている。 Axel Boman、Lawrence、SmallvilleのボスJulius Steinhoff、ニューヨークにおけるディープ・ハウスの定番Fred PとDJ Jus-ED、といったハウス界の重鎮によるトラックで埋め尽くされたCD1のトラックリストを拝読すると、ここに収録された音楽がどんなものか2つの予想がつく。1つ目は、ハウス志向であり、2つ目は、大部分がソリッドなものであろうということだ。そして、今回のコンピレーションで聞くことが出来るのは基本的に、この2つだ。Lawrenceの"The Cave"やAxel Bomanの"Anytime Is Fine"などのように、リズムは概して軽くバウンシーなもので、柔らかなパッド、可愛らしいコード、メロディ感のあるブリープ音などのサウンドが、チルアウトなバイブスをもたらしている。それほど劇的ではないが、違う路線を取っているトラックもいくつかある。例えば、Porn Sword TobaccoやEduardo De La Calleは、バウンシーというよりも漂うようなソフトなドラムを用いたトラックを提供しており、Jus Edの"Something Sexy"では、力のこもったキックにバネのようなハイハットで味付けをしている。 CD2では、音楽的影響の幅がさらに広くなっており、ニュー・ウェーブ、ポストパンク、クラウトロック、サイケロックなど、全ての要素が異なる場面に表れている。Daniel Baldelli & Marco Dionigiは、"Cosmic Reishi"にて、深くリバーブのかかったギターを、気だるく機械的なビートとアルペジオで奏でられるベースラインの上に展開している。他にも、緻密にアレンジしたデトロイトなストリングスを採用したKonstantin Siboldによる"Daniel"や、ポストパンクとニューウェーブに波打つ低域のサウンドを加えたTom Tragoによる"Fall Down On Me"があるが、こうしたトラックは、CD1に比べると一貫性がなく印象が薄い。ハイライトは、スキップするキック・ドラムと心地よいメロディを用いてたThe Backwoodsによる旋回するハウス・ジャム"Hazy Moon"だ。しかし、こうした音楽的影響が、それぞれ他のトラックと競い合っているかのような印象がある。例えば、Eddie Cによる"Asulkan Valley"は、躍動感のあるリズムの上を跳ね回るトリッピーなギター・サウンドを用いたヒッピー・ロックとドープ・ハウスを等しく取り入れたトラックになっている。 『I'm starting To Feel OK』はMule Musicので長きに渡って発表されているコンピレーションだが、この『Volume 6』は、その中でも最もボリュームの大きいものになっている。しかし、多方向に広がるトラックリストは結果として、最も印象の薄いものになってしまっている。スタイルの面でCD1には、しっかりとしたまとまりがあるのだが、出来るだけ多くの影響を含めようとし、若干、散漫なものになってしまったCD2は、その折衷性に苦しんでいるのだ。
  • Tracklist
      CD1 01. Matt Karmil – Really 02. Porn Sword Tobacco – Sex Nouveau Dub Mix 03. Lawrence – The Cave 04. Julius Steinhoff – Downtown 05. Axel Boman – Anytime Is Fine 06. Musk – Letusee 07. Kuniyuki – Newwave Project #2 08. Johannes Brecht – London 09. Panoptikum Arkestra – Hyperion 10. Eduardo De La Calle – Together (Fallen Angel Edit) 11. Fred P – Electric Bridge 12. DJ Jus-Ed – Something Sexy CD2 01. JD Twitch – Yesu 02. Daniele Baldelli & Marco Dionigi – Cosmic Reishi 03. KZA – One Hundred Fifth Wave 04. Naum Gabo – Mariama 05. Strategy – Rhythm King 06. Tom Trago – Fall Down On Me 07. The Backwoods – Hazy Moon 08. Eddie C – Asulkan Valley 09. Lauer – Bern 10. Konstantin Sibold – Daniel 11. King So So – Acid In The Sky 12. Gonno – Basic Operation