Drøp - Vasundhara

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  • 芸術興行団体Arboretumは、2012年にベルリンで活動を開始している。そして今回、メンバーである3人は、同名のレーベルをスタートさせる。1枚目のリリース「Vasundhara」は、メンバーの1人であるDrøpによるもので、ベルリンを拠点とするイタリア人Dadubによるリミックスをフィーチャーしている。Dadubは本作のマスタリングも担当したようだ。トラックのタイトルが示しているとおり、このEPは難解なテーマを扱っている。収録されたオリジナル・トラック3曲に共通して、脳に直接訴えかけるざらりとした電子音と、重たく刻まれるドラムが用いられており、次第にそして着実にその強度を増していく。5、6分程のトラックには、徐々に構築されていく展開が散りばめられており、決して聞いていて疲れることはない。 オープニング・トラック"Epileptic Heritage"は、控えめだが嫌な予感が漂っており、キックは各小節の頭にのみ打ち込まれているのみに留まっている。その後、"Erratic Rituals"では、3拍子のドラムが前後へと揺れ動き、濃厚なメタリック・ドローンの上に積み重ねられていく。そして"Vasundhara"は、じわじわと変化し、本作で最も荒々しい姿を現していく。ここでは、巨大な岩の塊のように、これまでで最も力押しな内容となっている一方、鋭利なテクスチャーによってトラックは隅々まで埋め尽されている。Dabubがリミックスした"Epileptic Heritage"は、Dabubの2人による密度の濃いパーカッションが限界まで充満しており、細部まで処理されたDJ仕様のブロークン・ビーツ・テクノを生み出している。最後に、デジタル音源限定トラックで"Death Of Apasmara"も収録されており、吐き気をもよおしそうになるサウンドスケープが、モジュレーションのかかった不規則なノイズ・ループへと変化しては、再び、サウンドスケープへと戻っていく。本EPは容易な作品ではないが、その点こそが狙いなのは明らかだろう。アーティストとレーベルにとって素晴らしい第1歩なのではないだろうか。
  • Tracklist
      A1 Epileptic Heritage A2 Erratic Rituals B1 Vasundhara B2 Epileptic Heritage (Dadub Remix)
RA