Ripatti - RIPATTI05

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  • Vladislav DelayことSasu Ripattiによるダンス・フロア・トラックにおける実験性に焦点をあてたプロジェクトRipattiは、所謂4つ打ちではなく、不規則に打ちつけるキックとベースに合わせ、緻密なサウンドプロセッシングを施した作品を展開している。ジャンル名を使うならば、ドラム&ベースやジャングル、フットワークやエレクトロの要素があると言えるだろうが、所謂、そういったジャンルの典型的な構造とはどこか違う異物感があり、本シリーズの大きな特徴を作り上げることに貢献している。シリーズ5枚目となる本作では、前回のTeethとの共作に引き続き、フットワークの構造をRipattiの視点から捉えなおしたトラックが収められている。Music Producers Guild Awardsにおける2013年マスタリング・エンジニア・オブ・ザ・イヤーに選ばれたMatt Coltonが、これまで同様、マスタリングとカッティングを担当しており、Ripattiもその仕上がりを気に入っているようだ。 本作を通じて、サウンドの質感が聞いたときの印象に与える影響の大きさを改めて実感させられる。フットワークの本拠地であるシカゴのサウンドと比べ、アタックを強調した硬質なキックとレンジの広さによって、テクノの雰囲気が生まれているからだ。以前のインタビューで、「テクノでは全く踊れない」「でもテクノやエレクトロニック・クラブ・ミュージックが持つ特定の部分は好きだ」と語っていた彼の答えがここに表れているのだろう。また彼が所有する膨大な音楽機材という環境面での違いも、表現される結果に影響を与えていることは想像に難くないし、前述のマスタリングもその要因の1つだろう。その相乗効果によってうねり出されるグルーヴが、フロアに新鮮な空気をもたらすことを期待したくなる一枚だ。
  • Tracklist
      A1 #54 B1 #46
RA