Donato Dozzy & Tin Man - Acid Test 09

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  • Tin ManとDonato Dozzyの2人は決して知らないもの同士というわけではない。Acid Testからの一連のリリースを通じて、Tin Manはメランコリックに303サウンドを奏でるという新たな領域を切り開いた紛れもない先人であり、そのサウンドは自身のトレードマークにもなっているし、Donato DozzyはAcid Testの1枚目のリリースにおいて"In Bed"を提供し、その名の通り夜の世界観を表現してみせた他、"Nonneo"のリミックスも担当している。しかし、その2人が一緒にスタジオに入ったのは実は今回が初めてで、このコラボレーションを思いついた人には表彰状を送りたいほどだ。収録曲の3つのトラックを通じて、ディープでヒプノティックなDozzyらしさがTin Manによるダイレクトなメロディ使いと完璧に調和しており、これまでのAcid Testのリリースの中でもベスト作品とも言える作品を生み出している。 2人の持ち味を別々に取り上げたくなる場面がいくつかある。例えば、"Test 7"でメインに用いられているマイルドにキケンな303サウンドによる気だるい感覚は確実にTin Manによる仕事だろう。一方で、着実に大きくなっていく芸術的なパッド・ワークはDozzyによるものと思われる。しかし、このように分類しながら今回の作品を捉えるのは大間違いで、各素材が見事に1つのカタチに混ざり合っている音楽を根底から覆すことになるだろう。Acid Testにはテンプレートとも言える個性があり、このトラックはその個性をさらに浮き出させるものだ。"Test 2"ではさらにディープに潜り込み、奇妙な形をした魚が生息する深海の中を漂っているかのようにキック・ドラムのサウンドがこだましている。シンセが2つだけ使用され、そのうちの1つは悲しみに満ちた声をあげるTin Manらしい303による旋律となっており、優雅にきらめきながら8分間に渡ってくるくると展開している。対照的に、"Test 3"はまだらに輝くぼんやりとした希望に満ちている。Dozzyの個性がこのトラックでは特に顕著に表れており、見事なディレイ処理を施した細やかなサウンドによる浮かんでは消えていくグルーヴに心を奪われてしまう。
  • Tracklist
      A Test 7 B1 Test 2 B2 Test 3