Formally Unknown - Untitled

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  • モスクワの2人組、Formally Unknownによる初のリリースはBlawan並に音像がくっきりとしているものの、物足りなさの残るざっくりとした亜流テクノに留まっている。Aサイドは特にその類のサウンドによく似せているものの薄っぺらい。Karennのようなアーティストのリズムからは高揚感が感じられるのだが、彼らのぴったりとグリッドに沿ったリズムには興奮する要素が一切無く、そのエネルギー感に欠けているため、バリバリと音を立てながら激しく揺れる低域も単に子猫がうめいているようにしか聞こえない。 もう一方のトラックでは巧みにプログラミングしたアレンジメントが上手く機能している。ボンゴとタムが音を立てる"Tribalz"は混沌としており、歪み気味のオフビート・キックが入ってくるところでは、天井の低い年季の入ったクラブでスモークが渦巻く中、ストロボが点滅している風景をイメージすることだろう。中盤にはこもった音色のシンセによって、荒い質感が和らげられいる。この展開を無くして序盤と終盤だけのアグレッシブなツールとして仕上げても面白かったかもしれない。デジタル盤のみに収録された"Will Never"でも同様、自信の無さが表れてしまっている。甘ったるいボーカルとリバーヴにベースを組み合わせた結果、素晴らしい低域のうねりが台無しになり、グルーヴがぐちゃぐちゃになっているからだ。本作には多くのアイデアが取り入れられているのだが、まだまだ技術不足のようだ。
  • Tracklist
      A Untitled B Tribalz
RA