Holly Herndon - Chorus

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  • Holly HerndonのデビューLP『Movement』において声をクラウド的なデータへと再構築した手法は、ますます一般化しつつあるサイバーネット的なソーシャル・ネットワークの存在に対する意思表示であったように思う。この点については、LPに続く本作のリリースにおいて彼女がより明確にしたテーマでもある。"Chorus"はHerndonは日常のインターネット体験をサンプリングしたものであり、ウェブ・ブラウザから流れてくるサウンドの断片を録音し1つにまとめ上げたソフトウェア・パッチが用いられている。その結果、サウンドは無秩序に寄せ集められ、加工を施していないコード、文字化けしたかのようなリズムの切れ端、そしてもちろん、ピッチ加工された多くの声が重ね合わされたものがアンサンブルのようなものを作り上げている。このジャンプカットの手法と時間が止まって静止したかのような華やかで儚い瞬間は、Oneohtrix Point Neverが最近、発表した『R Plus Seven』(英語サイト)を彷彿とさせる。しかし、Herndonはこうしたサウンドをアブストラクトな趣きとして提示するのではなく、それを素に1つの歌を捻り出そうとしている。それは、密度の濃いアレンジメントによって生み出されるバウンス感のあるエレクトロ・ポップなトラックだ。コンセプチュアルな実践という点では『Movement』に収録された曲と同様、鮮烈なものであり、1つの音楽という点では、非常に素晴らしいものだ。 きめ細かく作り上げられたAサイドとは対照的に、"Solo Voice"はどうやらワンテイクでレコーディングされたようだ。トラックのタイトルに騙されてはいけない。いつも通り、Herndonは自身の声を雨滴のような断片へと粉々にし、そこから優雅かつまだらに響き渡るコードを削り出している。ここからは『Movement』でも披露したより直線的な時間軸を感じることが出来る。呼吸をしている音、とでも言えるだろうか。非常に心地よく耳に響いてくるものだ。
  • Tracklist
      A Chorus B Solo Voice
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