Butric - Up

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  • DJたちがButchのトラックをプレイするのには理由がある。骨組みだけのリズムでいかなる音楽でもしっかりと機能するからだ。Ricardo Villalobosの最近の作品も同様の機能を果たしているが、その形態に違いがあり、Ricardo作品の場合、密度の濃いサウンドスケープが全てを1つにまとめ上げているため、Butchのトラックに重ねたくなるものだった。したがって、この2人のコラボレーションとなれば、それはもう垂涎モノだ。そして今回、100%クラブ仕様に仕上がった本作は間違いないものとなっている。 Villalobosが最近、再始動させたレーベルSei Es Drumから発表されるButric名義として初となる12インチの両サイドには非常に異なる内容のトラックが収められている。圧縮されたエネルギーが絶え間なく襲い掛かってくる"Up"には一種のユーモアが感じられる。空高く上昇していくようなシンセはマイルドに効果が表れるタイプとは正反対のトリップ感がある。強烈だったBarntのトラック"Tunsten"と似通っているが、こちらがコミカルな仕上がりだったのに対し、"Up"は見る限りキックドラムを一切使うことなく展開を続けるものになっている。一方向のみの広がりしかないようにも若干、思えるが、心臓発作を起こしそうになるまでスネアが叩き付られていくのには、それはそれでトリップ感がある。 14分間におよび拡散していく"Balam"はVillalobos流の壮大かつストイックなトラックだ。奇妙なボーカルの断片を伴いじわじわと焼き上げてくる密度の濃いものであり、ゆっくりと素材が重ね上げられながら、アナログなアシッドベースの展開へと発展していく。最近、Villalobosの最良作は他のプロデューサー、つまりはMax Loderbauerとコラボレーションにより制作されたものであることが多い。Butricとして初となるリリースは若干、統一感に欠けるものの、本作はVillalobosがButchという次なるパートナーを見つけたということを物語っているのかもしれない。
  • Tracklist
      A Up B Balam