Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller IV

  • Share
  • Drexciyaの再発プロジェクトを見事にCloneが成し遂げた。Drexciyaの初期作品、つまり、1992年から97年にかけて様々なレーベルからリリースされた8枚のEPを未発表音源と共に元々の物語を壊すことなく一貫性のあるLPとしてパッケージしている。知らない人のために言っておくが、その物語というのは、大西洋に投げ捨てられた奴隷妊婦の子孫が海に生息する種族になった、という話だ。『The Journey Of The Deep Sea Dweller』シリーズに収録されている新たに発掘された"Unknown Journey"トラックは、あたかもオリジナル・シリーズを拡張したディレクターズ・カットであるかのように、この物語に追加されている。4枚目にしてシリーズ最後となる本作では、これまで収録されていなかった残りのDrexciya作品がまとめられている他、新たに5曲の"Unknown Journey"トラックがフィーチャーされており、彼らの熱狂的なファンには垂涎モノの内容だ。 このシリーズも4枚目までくれば、さすがに彼らの音源も底が尽きてしまっているのではないかと思われるかもしれない。しかし、そこはClone、ここに収録されたトラックは全くもって冷え切った余りものだとは思えない。むしろ、ベスト作品を最後まで温存しておいたかのようにさえ感じるほどだ。DrexciyaことStinsonとDonaldの最も壮大なトラックである2曲"Mantaray"と"Hydro Cubes"もついに本作にてお目見えすることとなった。後者はDrexciyaスタイルの縮図だと言えるだろう。荒れ狂う海で作り上げられる波の装飾とでも言えるようなシンセが用いられている。これまであまり語られることのなかったストレートなテクノ秀逸作"Black Sea"は元々、Warpから1995年にリリースされたもので、Drexciyaの一般的なイメージであるエレクトロ・サウンドと見事に対を成すものとして機能しており、1998年の『Neptune's Lair』にて彼らが取り入れ始めたオープンな方向性を示唆するトラックでもある。 この3年間における4枚のDrexciyaコンピレーションをしっかりと聞いてきている人にとっては、最も興味をそそるのはおそらく"Unknown Journey"トラックだろう。アシッドにうねるトラック"IX"とピッチが変化していく"X"は若干ではあるが全体から浮いた印象はあるものの、"Unknown Journey"トラックは彼らの残した遺産とも言えるトラックと一緒に違和感なく並べられている。こうした内容の濃いトラックは過去のクラシック音源と比べても全く遜色がない。特に"VIII"は、ゆらゆらとちらつくパッドと堂々と貫禄のある展開によって非常に華やかな印象だ。ポップな要素を見事に取り入れことの出来る彼らのスキルについて、しばしば忘れられてしまっていることがあるが、耳に残るベースラインが特徴的な"VII"を聞けば、この点をつぶさに感じることが出来るだろう。 『Journey Of The Deep Sea Dweller』がカバーしていない場所にも彼らの音源が豊富にあることを忘れてはいけない。もし本作で初めてDrexciyaの世界感を体験しているならば、ぜひとも『Neptunes's Lair』と『Storm』シリーズを聞いてみて欲しい。本作に収録されたロウなエレクトロとは異なる形式を繰り広げる音楽人としての彼らの姿を垣間見ることが出来るはずだ。しかし、エレクトロニック・ミュージックにおいて、最も豊富な作品数を誇るグループの1つである彼らの音楽のダイジェスト版として、『Journey Of The Deep Sea Dweller』ほど完璧に近いものは無いだろう。
  • Tracklist
      01. Intro (The Unknown Aquazone) 02. Depressurization 03. Water Walker 04. Mantaray 05. Unknown Journey VI 06. Unknown Journey VII 07. Unknown Journey VIII 08. Living on the Edge 09. Hydro Cubes 10. Unknown Journey IX 11. Unknown Journey X 12. Aquatic Bata Particles 13. (Unknown Interlude) 14. Black Sea 15. Sighting in the Abyss 16. The Last Transmission