Factory Floor - Factory Floor

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  • ロンドンの3人編成バンドFactory FloorことDom Butler、Gabe Gurnsey、そしてフロントマンNik Voidは2008年にデビューしているが、モジュラーシンセによる強力なサウンドメイキングを始めたのは実際のところ2011年で、Optimo Musicからの「 ~(Real Love)」、そして虚ろなポストパンク作「Two Different Ways」をDFAよりリリースをした頃のことだ。同様に重要なのが、過去数年間に渡って、最重要ライブアクトの1つとして彼らは着実に評価を築いてきたことだ。Nik VoidによるThrobbing GristleのChris Carter、Cosey Fanny Tuttiとのコラボレーションや、今年初旬にPeter Gordonと繰り広げた素晴らしくバレアリックなミニマルEPを鑑みれば、何故、彼らのデビューアルバムが2013年において最も期待の寄せられる1枚なのか明らかだろう。 何より聴覚を拡張する彼らの定石、つまりインダストリアル感のあるポストパンクは本作『Factory Floor』でも健在でダンスフロアに衝撃を与えている。"Two Different Ways"と今年初旬にリリースした先行シングル"Fall Back"も収録され、マシーンとヒトが一体となったモノトーンな快楽主義とでも言ったところか。しかしアルバムにとって新鮮だったのは、このバンドがこれまでに作り上げてきた爆発的なエネルギーを誘発するアイデアだろう。"How You Say"では、エレクトロニックパーカッションと生演奏の鮮烈なコンビネーションによってストロボライトのように点滅するノイズが作り出す煽動感が強調され、彼らの初期シングルを好きなリスナーには堪らない内容だ。"Work Out"においては彼らが形成してきたリズムにおける個性は影を潜めているが、執拗に鳴り響くシンセがドラムマシーンの鋭いリズムに対抗するように捻り引きつられ、ぐらぐらとゆれるグルーヴを生むニクイ演出のエレクトロニカとなっている。 こういったリズムやグルーヴといったモーションに焦点を当てたトラックの一方で、少し引いた視点の小休憩とも言うべきトラックも収録されている。たとえば1曲目の"Turn It Up"はVoidによる唸るロボット声の周りをシンセが打ち寄せ、隙間の中にある静寂と虚無を感じさせる瞬間だ。"One"では約40秒に渡る明らかに奇妙な空気が流れているし、続く強烈なトラック"Fall Back"はVoidによる声がゆっくりと波打ち無へと帰っていく。こうした一味違う視点を持った曲の中でおそらく最も意外なのが"Three"ではないだろうか。必要最低限な1分40秒にはItarians Do It Betterが作りそうな夜明け前のイタロ旅行がパッケージされている。しかし"Work Out"と難解な"Breathe I"での機械仕掛けのダンスフロア直行トラックの直前に"Three"が収録されていることで、ダンス前に一息入れる瞬間を準備している。短くも重要なこうしたトラックによって『Factory Floor』は深く練りこまれた重要作としての認知されることになるだろう。汗ばむフロアに戻る前のひと時をいかに取り入れるか、この作品はそのことを知っている。
  • Tracklist
      01. Turn It Up 02. Here Again 03. One 04. Fall Back 05. Two 06. How You Say 07. Two Different Ways 08. Three 09. Work Out 10. Breathe I