Damiano von Erckert - Love Based Music

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  • 自身のレーベルava.をスタートして程なく、Damiano von Erckertはホームタウンであるケルンに対するイメージを変えることを決意した。多くの人はケルンの音楽シーンと言えばKompakt、ポップなテクノ、コズミック(Kosmishe)の3つで片付けてしまいがちだが、過去3年の活動において、von Erckertはケルンがハウスミュージックの街にもなり得ることを証明してきている。Funkycan、Murat Tepeli、そしてMarcus Worgullの貢献もあり、ava.が仕掛けるレトロフューチャーなハウスミュージックの攻勢はこれまで順調に事を進めている。約半年ぶりのvon Erckertにとって2枚目のアルバム (ソロとしては初) となる『Love Based Music』でもそれは同じだ。 実際のところ、マーブルカラー仕様の本作『Love Based Music』は一歩先を行っている。ルードなディスコを通過した最高にスウィートなソウルから、長い間忘れ去られていたようなファンクまで、全てを網羅する音楽旅行へとリスナーを誘う。50分という程よい時間に多くの要素が収められ、聞くほどに蓄積されていき、そこから生み出される効果は純粋な即興として楽しめるものだ。(この点については、Omar-Sのクラシック"Day"に沿ったスタイルで以前にリリースされたボーカルサンプルを使用したトラック"Housem"ほど当てはまるものはない。) トラックが勢い良く始まり、気付いたらフェードアウトして終わっていたということが良くある。車輪のように転がるグルーヴの"No Good Times"は、いつの時代になっても素晴らしいと思えるようなヴィンテージファンクの真髄だ。そして気だるい雰囲気に満ちたスウィングディスコの"Hollywood"はまるで70年代のテレビプログラムSoul Trainを見ているかのようだ。 本作には、よりシリアスな瞬間も収められている。デチューンされたシンセによる旋律と散りばめられたパーカッションを使用したthe Motor City Drum Ensembleによる"Adhab Ya Msafiri"のリミックスが最も目に付く例だが、それでも全体を通して眺めて見るとそういったシリアスな空気も完璧にこのアルバムの一部としてハマっていることが分かる。『Love Based Music』は高揚感を促す即効性の高いアルバムだ。音が止まりしばらく経った後でも微かに残る暖かな光の中、心を躍らせている自分を見つけることが出来るだろう。
  • Tracklist
      01. All Good 02. No Good Times 03. French Porsche (Drums By Funkycan) 04. Hollywood feat. Georgia Anne Muldrow 05. Housem 06. Adhab Ya Msafiri feat. Imam Ally-Salaam 07. Sweet And Kind 08. Reallove feat. Tito Wun AKA Twit One 09. Adhab Ya Msafiri feat. Imam Ally-Salaam (Motor City Drum Ensemble Remix)
RA