Vakula - You've Never Been To Konotop (Selected Works 2009-2012)

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  • Vakulaは優れている。僕は彼のホームタウンであるウクライナのコノトープに行ったことはない。行ったことのある人の方が少ないだろう。Wikipediaでこの街のことを調べてみると、記事は4つのパラグラフに分かれていて、18世紀の頃の出来事以外、この街における歴史的な歩みはほとんど書かれていない。「ウクライナ州都であるスームイから129kmに位置している」とは書かれてはいるものの、その情報が何らかのイメージを喚起することはない。ただ、コノトープという街にまったく馴染みのない自分自身を認識するだけだ。 それはさておき、Vakulaが創るハウス・ミュージックに落とし込まれた多様性とテクスチャーの複雑さは、それがどこから生まれてきたのか不思議に思わせるものだ。そして、2009年から2012年にかけて作られた作品群のリワークおよびアンリリース・マテリアルで構成されたこのアルバム『You've Never Been To Konotop』を聴くにつけ、VakulaことMikhaylo Vitykに対する興味はこれまで以上に深まっていくことだろう。3枚の12インチを豪奢なゲートフォールド・ジャケットに収めたこの作品で、彼は狡猾なジャズ、ドライヴィングなハウス、瞑想的な実験精神といった広大かつ広範なサウンドのパレットですばらしく緻密な絵画を描きあげているかのようである。もちろん、こうした多彩なレンジをエレクトロニック・ミュージックに持ちこんだプロデューサーは彼以外にも沢山存在するが、Vakulaこそはあらゆる局面でそのサウンドに多様性を持ち込むことができる稀有なプロデューサーのひとりだ。 Vitykのストレンジさがにじみ出たトラック群は、このアルバムのハイライトのひとつとなっている。"For Juju & Jordash"では、その名の通りJuju & Jordashのドラマ性とエネルギーを引用しつつも、その壮麗で生々しいプロダクションはあきらかにVakula固有のものだ。10分近くにもおよぶ軽やかなジャズ・ジャム"Sleepy Vision"は、いわばVakulaのフロアー・トラックを伸張版に仕立てたようなもので、飛び込んで前後不覚になるための空間がたっぷりと用意されている。ドライヴィングなアシッドから一転、バレアリック的多幸感が溢れ出すタイトルトラックや、新規に録りおろされた2011年作"Mama Said Go Slow"の"album dub"ヴァージョンといったトラック群では、そのヘヴィーなベースの震動からVakula独特の渦巻くようなパーカッション・セクションがするりとシーケンスから外れていく。 Aサイドの大半を占める"New Romantics"はVakulaらしさが最もはっきりと感じられるトラックで、ずっしりとしたシンバルのヒットがエピックなシンセとピアノの上でスキップし、そのサウンドのディテールは豊かだ。アルバム中の他のトラックに比べても一際キャッチーだが、決して聴き飽きることはない。Vakulaはワイルドなまでに多様性を織り交ぜつつしっかりと没入して聴き込める、スタイル的にもタイトなアルバムを作り上げてみせた。このアルバムはリスナーをコノトープには連れて行ってくれないが、それとは違うどこかへ連れて行ってくれるのは間違いない。
  • Tracklist
      01. Music (Skit) 02. Jazz Mutants 03. New Romantic 04. We Have Soul 05. Mama Said Go Slow (LP Dub) 06. Sleepy Vision 07. Hope Soon To Be There 08. Dancing Woof (Skit) 09. In My Head 10. Was 11. A Blyad Matrosi (Skit) 12. For Juju & Jordash 13.‎ EXP Techno 14. You’ve Never Been To Konotop 15. No T-Shirts (Skit) 16. Still Time (LP Dub)
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