goldFFinch - The Volume

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  • 疾風のごときテクノに満ちたEP群のリリースを経て、2013年のベルギー人デュオgoldFFinchはメロウなムードへ転じたようだ。Mindset、Dirtybirdと続けてリリースされた彼らの作品には以前よりもディープなサウンドが提示され、それまでの威圧的なムードは分厚いリヴァーブとウッドブロックのスネアが取って代わっていた。両EP共に巧みに作られており、goldFFinchがささくれ立ったベース・ミュージックだけでなく磨き上げられたディープハウスもこなせることを証明していたのだが、Saigonへ戻ってのリリースとなった本作では以前の彼ららしいギラついた感覚が再び戻ってきていることは喜ばしい。 その変化が最も明確に表れているのが"For The F"で、このトラックでは紙ヤスリのように粗くラフなベースラインがそびえ立ち軽やかなベースラインの表面を引っ掻いているあたりがBassbin Twinsの"The Dogs"を彷彿とさせる。対照的に、"The Volume"は良い意味できらびやかなエッジを有している。きつくフィルターが掛けられたスタブが"pump up the volume"というヴォイスの周りを渦巻き、ベースラインがしなやかに跳ねたり軋み合ったりを繰り返す。"Point de Vue"は近作での彼らのムードを引き継いでおり、行き詰まるようなサブベースと小気味よいパーカッションにパッドが広がる。デジタル・オンリーとなる"K"でのベースの展開も悪くはないがやや凡庸でもある。とはいえ、(最近のデジタル・リリースでは)EPをまとめて買う必要もないので大した問題ではないだろうが。
  • Tracklist
      A The Volume B1 Point De Nere B2 For The F Digital: K
RA