Steven Tang - Disconnect To Connect

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  • これまでそのファミリー内以外の外部には滅多に門戸を開いてこなかったSmallvilleだが、シカゴ出身のSteven Tangはまさしく完璧にそのレーベルカラーにフィットすべき存在だろう。その映像的とも言える芯のあるディープハウスはSmallpeopleやChristopher Rauにも近しく、それでいて彼らとは違う新たな影響も感じさせる。ハンブルグのSmallvilleといえば、そのアーシーで柔らかなサウンドで名を馳せているが、Tangのスタイルはよりフューチャリスト的でスペーシーな色合いが強い。そのムードはロマンティシズムに溢れるというよりはシカゴのアーティストらしく穏やかな孤独感を感じさせるものだ。しかるに、この長い時間をかけて練り上げられたデビュー・アルバム(そのトラックのいくつかは15年も寝かせ続けられたものもあるという)はSmallvilleとシカゴをもっとも明白なかたちで結びつけている。 『Disconnect To Connect』にはシカゴ伝統のジャック・スタイルとデトロイト的ソウルが同居しているが、断じて単なる懐古主義には陥っておらず、そこには溢れるほどのパーソナリティが存在している。1998年にデビューして以来彼がリリースしてきた作品と同様、ケミカルなベースラインは鞭打つように跳ね、シンセはそれ自身の深い宇宙のエナジーを伴ってこぼれたり発振し、パーカッションは常に狂乱をともなってせわしなく鳴っている。注意深く聴いてみると、めちゃくちゃにプログラミングされているようでいて自由さは失われていない。それぞれのエレメントは独自の深みを持ちながら互いに重ねられているのだが、鮮やかな霧を吹きかけられてせめぎ合い、インパクトを和らげられている。 かといって、このアルバムは単なるラフでロウファイな作品ではない。この潰れたサウンドは時としてメランコリックなムードにぴったりと寄り添う。それは緩慢なプロダクションを隠蔽するトリックなどではなく、"It's Perceived As Sound"等のトラックを聴いてみれば実に多様なキャラクターを持ったキックとスネアが組み合わされていることがわかる。アルバム最初のトラックと最後のトラックも同様だ。これらの典型的とも言えるサイファイ・アンビエントでアルバムの両端を彩ることで、それと悟られることなく強烈な孤独感を演出しているのだ。 9つのトラックによって構成されるこのアルバム全体でTangはさまざまなテンポとテンションを横断してみせているが、シンセの平静さはとりわけ特徴的なトリックのひとつだろう。それはときに生々しく穴だらけで("Heat Burst")、ときに威勢良く不器用で("Some Solace")、ときに無慈悲でダイレクトでもある("Potential Light")。ひとつの世界観のなかで、リスナーはさまざまな表情を見せつけられる。ときには、これがハウスミュージックであることを忘れさせるほどに。
  • Tracklist
      01. Interstice 02. Disconnect To Connect 03. Some Solace 04. Eternal 05. Heat Burst 06. It's Perceived As Sound 07. Sunspot 08. Potential Light 09. Brink Of Dawn