Dadub - You Are Eternity

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  • かならずしもビッグ・ネームと呼べる存在ではないにせよ、Dadubは間違いなくStroboscopic Artefactsにおける中心的な役割を果たしている。このイタリアン・デュオはStroboscopic Artefactsからリリースされるすべての作品におけるマスタリングを専用スタジオで手掛けており、Stroboscopic Artefactsの作品群におけるアナログ的な暖かみや入念な繊細さを落とし込むことに一役買っている。彼らの初期作品は酩酊したリズムに無慈悲なサウンドを落とし込み、Stroboscopic Artefactsの他のレーベルメイトの作品とも多くの共通項を窺わせていた。しかし、このデビューアルバムにおいて、彼らはテクノにおけるアブストラクトなビジョンへと焦点を絞り込み、そこには躍動というよりは抑制した感覚が強く滲み出ている。 この『You Are Eternity』というアルバムは、まるで長く永遠に抜けることのないトンネルのようだ。すべての捻れや展開においても、リスナーは依然として一定の知覚喪失的空間に釘付けにされる。そのアトモスフィアは仮想の生態系のなかに封じ込まれ、微細なマイクロスコピック・サウンドはまるで自律した放卵と運動を繰り返しているかのようだ。すべての細かなノイズはそれぞれ離散し重要な意味合いを持っているかのように聴こえ、彼らのマスタリング・エンジニアとしての優れた経験が反映されたであろうそのサウンドは見事に磨き上げられている。 ムーディなテクノから優美なアンビエント、そしてもちろんダブなど、彼らはあらゆるスタイルをペトリ皿の上に載せてアルバムというかたちで展開する。1曲目の"Vibration"における戦慄や素晴らしき"Path"におけるドラマティックなリムショットは楽曲を劇場的なレベルにまで引き上げる固有の重厚感を与えている。とりわけ"Circle"において特徴的な荒々しいダブのリズムと実に液体的なテクノが続く中、Edit Selectとのコラボレーションはテクスチャーとサウンド・デザインのさらなる実験を見せつけている。ある意味、この両者はひたすらサウンドのマニピュレーション操作に没頭しているとも言える。King Cannibalをフィーチャーした"Transfer"はアルバム中もっともハードな展開であるが、そのハードさはフィジカルなものというよりはテクスチャーの野蛮さにこそ本質が潜んでいるというべきだ。 それぞれのトラックを取り巻く中毒性の高いガスを掻き分けていくと、原始的なムードをたたえた"Arrival"がアルバムが持つ無慈悲さにおける分水領となる。そこから、このアルバムはみずから崩れ込むかのように弛緩したメロディと美しいアンビエンスへと傾倒していく。それまで続いていた強烈な打撃をともなうテクノからまるで何事も無かったかのように30分のドローンが続くが、Dadubは凡百のテクノ・プロデューサーたちには真似できない自然さで成立させてみせるのだ。それはサウンドの組み合わせの妙と言ってもいいのだが、Daniele AntezzaとGiovanni Contiの2人に関して言えばそのアレンジ能力が殊更際立っている。
  • Tracklist
      01. Vibration 02. Truth 03. Life 04. Path 05. Circle feat. Edit Select 06. Death 07. Transfer feat. King Cannibal 08. Arrival 09. Unbroken Continuity 10. Experience feat. Øe 11. Existence 12. Iridescent Fragment