Raudive - Traffic EP

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  • Oliver HoがRaudive名義で創りだす作品は異例なほどその作風の特定が困難だ。このプロジェクトは彼がキャリアの初期に手掛けていたハードエッジなテクノから一旦離れ、より自由な創作を可能にしたものとはいえ、その方向性をひと言で語るのは難しい。しかし、この「Traffic EP」では少なくともひとつの事実が明らかになっている。このトラック群を何と呼ぶべきかはともかく、非常にキャッチーなものであることは確かだ。そして、Ho自身がこれをとても楽しんで創ったであろうことも窺える。 Running Backといえば他のレーベルに比べてもシリアスさと楽しさが同居したリリースを多く手掛けているが、この「Traffic EP」はまさしくそうしたレーベルカラーを如実に反映した作品であると言える。"Traffic"をダンスフロアーで聴いたならば、思わず腕を大きく振って地面を踏みならしたくなるだろうし、そのメロディは意味なく口ずさんでしまいたくなるほどだ。さまざまなテンポが組み合わされているとはいえ、EP全体としては狡猾な作為性はまったくと言っていいほど存在しない。"Psycho"はまるで終わりの見えないクラシックなシンセ・ポップのようでもあるのだが、真面目にふざけているように唄われるたった一語の"you"というリリックが妙な居心地の落ち着かなさを感じさせる。 "Relentless"というトラックはそのタイトルとは裏腹に、より抑制されたアプローチのもと作られており、その精密なドラムプログラミングはダンサーたちを強く促す。しかし、もっとも傑出しているのは"Beams"というトラックで、粘り気を帯びたアンビエンスと鋭く熱いパーカッションが見事に融合されており、奇妙なテクスチャーでありながらも多幸感溢れる仕上がりとなっている。デジタル・リリースでのみ聴くことができる2つのオルタナティブ・ヴァージョンにはオマケ以上の意味合いは無いとは言え、奇妙なサウンドをどのようにしてダンスフロアーで機能させるかという点において、Raudiveはそのハードワークを見事に結実させていると言えるだろう。
  • Tracklist
      A1 Traffic A2 Psycho B1 Relentless B2 Beams