Lexx - Originals Volume Eight

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  • まだ見ぬ素晴らしいトラックとの出会いを求めてレコードの山を探る行為自体は結構なことだが、誰もがゴミの中からそうしたレアなレコードに出会えると思うのは間違いだ。このOriginalsシリーズはそうした作業を誰か1人のディガーに委ねたコンピレーションをリリースしているわけだが、今回はスイスのプロデューサーであり全方位型のレコード・ナードLexxが登場だ。シリーズ8作目となる本作には、ありえないほどスリリングな選曲が並んでいる。 Lexxはまさにこうしたコンピレーションを手掛けるのに理想的なセレクターと言えよう。彼はある意味音楽における博士でもある。プロデューサーとしては豪快なハウスを手掛けるのと並行してブリティッシュ・ロックのエディット作品でも知られる彼は、もともとラッパーとしてキャリアをスタートした事実も説明不要だろう。しかし、多岐にわたる彼の音楽的嗜好がもっともよく表れるのがそのDJセットだ。DJ HarveyやPrins Thomasにも匹敵するジャンル横断感覚を武器に、彼は音楽そのものを掻き混ぜてみせる。このコンピレーションのライナーノーツにはGerd JansonがLexxに寄せて「ベストのセレクターのひとりであり、俺がこれまで見てきたなかでも最もテクニカル且つエモーショナルな創造性に優れたDJのひとり」と記している。 オープニング・トラックからして、セレクターの嗜好がよく表れている。Band Called Oによる"Coasting"はトリップアウトしたソフト・ロックの名曲だ。1976年にシングルのB面として世に出て、リリース当時誰にも注目されることのなかったこの曲はDJ Historyによって発掘され、バレアリック・クラシックとして知られるようになったのだ(予想通り、オリジナルのヴァイナルは非常に入手困難な1枚でもある)。他にもFar East Recordingsのジャパニーズ・ハウスからBlack Lightの西アフリカ産ハイライフまで、このコンピレーションには鬼のようにレアなトラックがまだまだ目白押しだ。 このコンピレーションの優れているところは、ただ無名なトラックをセレクトすることばかりに拘っていないところだ。Larry Heard "De-Ja Vu"のように、さほど無名とも言えないトラックもここには収録されているが、このトラックは間違いなくこれまで過小評価されすぎてきたヴォーカル・ハウスの隠れた名曲である。ここに選曲されたトラックがしかるべき文脈でプレイされれば、ダンスフロアーでこの上なく機能するであろうことは想像に難くない(ライナーノーツによれば、Lexxはこの点についてかなり時間をかけて入念に仕上げたそうだ)。Lexx個人はもちろん、この困難なライセンス作業を一手に引き受けたClaremont 56のハードワークにも賞賛を送るべきであろう。かつてのバレアリックやダンスミュージックの辺境に興味があるなら、このOriginalsシリーズはぜひともチェックするべきだ。
  • Tracklist
      01. A Band Called O – Coasting 02. Kash – Percussion Sundance 03. Monette Sudler – Baby Erik (Blackjoy Remix) 04. Soichi Terada – Do It Again 05. Larry Heard – Deja Vu (Remix) 06. Disconnection – Bali Ha'i (UK Discomix) 07. Mariah – Shinzo No Tobira 08. Basa Basa – Black Light 09. The Bayara Citizen – Ju/Ru 10. North South East West – Anxiety 11. Band Of Frequencies – Open Water 12. Mad Professor – People Of Yoruba 13. Rexy – Don't Turn Me Away 14. Dunkelziffer – See It