Amir Alexander - Everybody's Beautiful EP

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  • Plan BやMachining Dreamsでリリースを重ねるAmir Alexanderはそのアップテンポでテクノ的でありながらも間違いなくシカゴハウスのサウンドを受け継いだスタイルで現行のアメリカン・アンダーグラウンド・シーンを席巻している存在だ。そのいっぽうArgotではGutter Flex名義で所謂DJユースではないエクスペリメンタルなレコード(とはいえ、その4トラックは極上の内容だったが)をリリースしたりもしている。Maya Jane ColesやGroove ArmadaもリリースするUKのHypercolourからのリリースとなる本作『Everybody's Beautiful EP』は、Gutter Flexほどの鮮烈さには欠けるとは言え、よりハウス・ファンにアピールする内容となっている。 オリジナルとアシッド・ミックスの2ヴァージョンが収録された"Everybody's Beautiful"は聴くたびにじわじわと良さがわかってくるようなタイプのトラックだ。"I feel so good right now!"というテンションの高いヴォイスのおかげで、最初はMarshall Jefferson "Mushrooms"あたりへのオマージュとも受け取れるのだが、やがてAlexanderらしいエキセントリックなプロダクションが頭をもたげはじめる。予測もしないところからパーカッションが顔を覗かせ、トリッピーな電子音が背景を飛び交い、まるで耳のなかで反響しているような感覚を与える。よりハードにエッジを際立たせた、ドラマチックなアシッド・ミックスはフロアー釘付け必至だ。しかし、それらのトラック以上に出色の出来と言えるのが"Dazed & Amazed"だ。幽玄なヴォイスサンプルとFred P的なアンビエンスのなかをのろのろと歩き回るようでいて、なおかつ繊細なベースとドラムが編み込まれたこのトラックは彼のキャリアの中でも屈指の傑作と言える仕上がりだ。
RA