Cassegrain & Tin Man - Carnal

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  • Nico DeusterのKillekillレーベルはこれまで8枚のリリースを残しているのだが、直球のアシッド作品としてはこれがまだ2枚目のリリースであるという事実は驚きに値する。というのも、Deusterは無類のアシッド・マニアであり、彼はベルリンのSuicide Circus ClubでAcid Ist Fertig (="Acid Is Finished")と銘打ったパーティを主宰しているくらいだからだ。このリリースにしても、Tin Manが参加していながら彼が"Nonneo"で聴かせていたような柔らかな303使いやTin Man独特の「ネオ・ネオ・アシッド」とはあまり共通点はない。より強い存在感を示しているのは、むしろCassegrainのほうだ。CassegrainはこれまでにもPrologueやM_Recにリリースを残してきているデュオ。"Carnal"や"Sear"といったトラックはこのEP中でももっともシンプルなトラックで、共に石のようにソリッドなビーツに煮え立つようなアシッド・ラインが添えられており、至極モノトーンな印象だ。とりたてて目新しさがあるようなトラックではないが、その精緻さと無駄のない造りはなかなかのものだ。 Tin Manとのコラボレーションとなる"Visitor"と"Rest"はやはり趣が異なる。"Visitor"では303がよりメランコリックに鳴らされ、Tin Man的なエッジと繊細なパーカッションがその下に潜んでいる。"Rest"はCassegrainのソロ・ワークにも近しいダビーなトラックであり、このEPでも最も興味深いトラックのひとつだろう。最初は非常に抑制された印象だが、濁ったストリングスが深い淵からおどろくほどゆっくりと立ちのぼるとトラック全体のサウンドがダーティさと美しさが混在した絶妙なバランスに満たされていく。ちなみに、このトラックでは303らしき音色はまったく使われていない。