Petre Inspirescu - Marcel Si Fiii

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  • 待望のPetre Inspirescuによる新作がようやく到着。高い評価を得た[a:rpia:r]からのアルバムリリース以来、しばしの沈黙を守ってきた彼はいくつかのリミックスワークを手掛けつつπEnsemble名義でのリリースを展開しファンの枯渇感をじわじわと煽り続けてきた。そしてようやく届けられたこの新作は、その期待を寸分も裏切らない内容を伴って届けられた。 両トラック共に彼のよりダンサブルな側面を打ち出しているものの、かの名作『Intr-o Seara Organica』で聴かれた濃厚なアブストラクトさはやや控えめなようだ。そのかわり、トラック全体の展開力にはより磨きがかかっているようだ。"Vrednik"で聴くことができる微細なクリックや破裂音、パーカッションはさまざまなメロディのエレメントと密接に絡み合い、水晶ガラスのように繊細なリムショットはホーンセクションと見事な調和を実現する。 よりダークな印象をまとった"Crosetul"はそのバックグラウンドに高周波のドローンを配し、ベルや金属質なリズム・エレメントと共にある種の不安定さを醸し出す。いわゆる強烈なフロアキラーといったタイプのトラックでは断じてないが、午前8時のゾンビたちが蠢くフロアでは最大限の効果を発揮するだろう。凡百のミニマル・トラックではこうした変わった音色を組み合わせただけでは何の効果も得られないものだが、Inspirescuは見事にそれらを彼が望む方向で調和させ、同時に非常に端正なサウンドと高い構成力を実現しているのだ。