Nikola Gala - Only

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  • そのシンプルなキックドラムはいささか使い古された印象ながら、なおもそこから熱量を引き出してみせる"Only"は、このベルリン在住のギリシャ人プロデューサーNikola Galaが硬質なテクノとアップテンポなハウスのあいだに横たわる境界を巧みに操作していることを証明している。じゃあ、このレコードはいわゆるテックハウスってことなのか?いや、厳密に言うとそうではない。このレコードは、いわばハウスの皮を被ったテクノ、といったところだ。カットアップされた女声ヴォーカルや、突き刺すようなシンセ・スタブはあくまでもサイドディッシュみたいなものだ。ギラギラとしたベースとドラムのインタープレイはブレイクに達するとほとんど聴こえなくなるまで極端なEQを施されるが、Gaiaはブレイクダウンの間でさえそのタフで正確なグルーヴの存在感をキープさせ、いよいよブレイクが明けてリズムとベースが戻ってくるとそのグルーヴは一気に駆け抜けていく。 BerghainレジデントのRyan ElliottによるリミックスはGaiaのオリジナルほどの硬質さはないものの、オリジナルの持つ荒々しさを敢えて抑制して、繊細なハイハットの音色を配することでミニマルなパーカッシブさを醸し出している。このリミックスでは、例のオリジナルで存在感を示していたベースラインは奥に引っ込められ、かわりに優美なパッドがピークを創り出していく。
RA