Burnt Friedman - Bokoboko

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  • その一貫してハードボイルド然としたミュージシャンシップが際立つ鬼才、Burnt Friedman。その彼が元Canとして知られるドラマーJaki Liebezeitと共に展開したスタジオ/ライブ・プロジェクトであるSecret Rhythmsは、その4枚の連作を通して非常に興味深い音楽的展開を見せた。その核となっていたものはもちろん、リズムという音楽における最もプリミティブな構成要素に対する、あらゆる角度からの実験だったと言っていい。 3年間の制作期間を経て届けられたFriedmanのソロ通算5作目(2007年の『First Night Forever』以来)にあたるこの作品もまた、Liebezeitとのコラボレーションから得られたアイデアを論理的かつ暴力的に発展させた壮絶なリズム実験作だ。 日本語のオノマトペでもある『Bokoboko』というタイトルを纏ったこのアルバムは、まさしくそうした不揃いでボコボコとしたリズムの律動に満たされている。言語体系として豊富なオノマトペを有する日本語からの影響はそのアルバムタイトルのみに留まらず、「でくのぼう」「トタン屋根」「渦」「村」「目眩」などトラックタイトルの随所に散見することが出来る。 ドラム缶を加工したスティール・ドラム、ウッド&メタル・パーカッション、ゴング(鐘)など多彩なパーカッションを用いたそのドラム・サウンドの驚くべき多様性もさることながら、真に驚かされるのはリズムが定型化されることによって生成されるミニマル性をまるごと否定するかのような、まさしく「ボコボコ」でダイナミックな身体性に溢れたリズム。そのアプローチが最も露になっているのはタイトルトラックでもある「Bokoboko」で、この曲に至っては実に11ものリズム・パターンが複雑に組み合わされ、きわめてスリリングでマジカルな瞬間が立て続けに襲ってくる。 もともとレゲエ、とくにダブにおける造詣が深いFriedmanだけに、ダブ的な要素を匂わせるテクスチャーがアルバム中随所に仕込まれているのは事実だが、その語法はやはり非常に独特。いわゆるクリシェ的なディレイなどの使い方はことごとく回避されていて、その事実によってこのアルバムはさらなる魅力を付加されている。エフェクト以外にも、生々しさをあえてそのままに残したリズムやシークエンスの処理などを聴くにつけ、「完成された作品」としてのある一定の予定調和に反抗するかのような態度が見え隠れしているところも実におもしろい。また、Joseph SuchyのギターやTakeshi Nishimoto (I'm not a gun) によるサロード(インドの弦楽器)もまたこのスリリングでダイナミックなリズムに多彩な彩りを与えていることも付け加えておこう。 HardwaxやHonest Jonsでのレビューではこぞって「Outernational」という表現がこの作品に対して奢られていたが、確かにこれほど無国籍的で世界の何処にも属さない自由さを持った音楽は稀有だろう。
  • Tracklist
      01. Rimuse 2 02. Uzu 03. Deku No Bo 04. Sendou 05. Totan Yane 06. Tom Tom Keppo 07. Mura 08. Bokoboko 09. Rimuse 3 10. Memai