Marcel Dettmann - Landscape

  • Share
  • リリースから18年もの年月を経て、Autechreの『Amber』が今また再評価されている。Sandwell DistrictからリリースされたFunctionの最新EP「Ember」はそのタイトルが似ているという以上に、『Amber』の不安定なドローンとリヴァーブを多用した金属質なタッチが反映されていた。Music Manより届けられたこのMarcel Dettmannの最新EPもまた、同様のインスピレーションのもと作られているようだ(それ自体は全く驚きには値しない。というのも、DettmannはBeatportのUstream出演時にも同時期のAutechreのアンビエント・トラック"VLetrmx21"をプレイしていたからだ)。この"Landscape"でまず前面に押し出されているのは、その背景で揺らぐ抑制されたメロディで、これは明らかに『Amber』でのシンセ・パッドを思わせる。コットンとサンドペーパーの間で終始せめぎ合うかのようなドラムは、いつものDettmannスタイルというべきものだが、そのシンコペートされたシャッフルはやはり初期Autechre的な崩れたエレクトロ・リズムを想起させる。このBerghainのダンジョン・マスターが手掛けたトラックにしてはいつになく抑制されたトーンが貫かれているが、やはり随所に巧妙な仕掛けが用意されていて、ちょっとした変化がトラック全体の高揚感をぐっと押し上げている。機能的な点で言えば、これは完璧なウォームアップ・トラックだと言えそうだが、このトラックはそれ以上のものを秘めている。冒険的なDJであれば、このトラックを軸にセット全体を構築することが可能だろう。恐るべき可能性を秘めた、今後の新たな指標となりそうなトラックだ。 "Answer Code Request"もまたウォームアップの時間帯に機能するタイプのトラックだが、やはりDettmannのプロダクションには抜かりなく、パンチの効いたベースとタイトにシンコペートされた909スネアは確実にテンションをアップさせる。相変わらず身震いするようなトラックだが、不思議なことに大音量で聴くと意外なほどに静かなトラックでもある。まるで薄暮の森の中に佇み、あらゆる思考が空気中に溶けていってしまうような。