Morphosis - Too Far (Dettmann's Definitions)

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  • 個人的にはリミックスはあくまでもオリジナルの副産物だと考えているが、リスナーとしては時にそのリミックス・ヴァージョンをそのプロデューサーの純粋な作品として聴くことがある。このMarcel Dettmannが手掛けたリミックスはまさにその好例であり、この"Too Far"というトラックは奇しくも昨年春にリリースされたMorphosisによる傑作アルバム「What Have We Learned」とDettmannの最新ミックスCD「Conducted」の両作品でハイライトを飾っていた曲である。Dettmannが手掛けたJunior Boys "Work"の優美なリミックス同様、このテクノ界の巨人は特徴的なヴォーカルを意のままに扱い、見事に活かし切っている。Dettmann独特の鋭利なエッジを持ったグルーヴにヴォーカルがなめらかに滑り込む様は、所謂ポップとは何光年も離れたところで響いていると言えよう。 この"Too Far"におけるヴォーカルは控えめに言っても分かりやすい親しみやすさは持ち合わせてはいないものの、Dettmannが手掛けた2つの"Definitions"は共に明らかなDettmannらしさを注入しつつも、ある種彼の過去作品中でも最も親しみやすいトラックに仕上がっている。"Definition One"ではオリジナル独特の中毒性を丁寧になぞりつつ、彼が得意とする130bpm周辺でのグルーヴ形成をあえて回避している。よりゆっくりとしたテンポの利点を巧く活かし、シンプルながら凝ったドラムプログラミングによってフレーズの存在感を際立たせている。"Definition Two"ではbpmもアップし、その色彩も増えている。その液体的なメロディは最初ヴォーカルをストレッチして作られたものだろうが、そのコンビネーションは見事に機能している。共に甲乙つけがたい仕上がりの両ミックスだが、どちらを好むにせよこの2つのリミックスヴァージョンがDettmannの過去作品中でも屈指のものである事実は揺るがないはずだ。