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Berlin Atonal 2015
Published
Oct 2, 2015
Words
Jenagan Sivakumar
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「突如として、ノイズが音楽になった。」Tresorの創設者Dimitri Hegemannは、Berlin Atonalが'80年代・西ベルリンの音楽シーンに及ぼした影響についてそう語った。Hegemannは、1990年にTresorをオープンする10年も前からAtonalを運営していた。休止前最後の開催から23年の時を経た2013年、Atonalは、現在のTresorがある建物内の巨大な工業スペース、Kraftwerk Berlinにて復活を遂げた。今年のAtonalは、その復活から3回目の開催となった。過去の開催同様、5日間に渡るプログラムでは、アヴァンギャルドなエレクトロニクスからダンスフロア向きのテクノまで、あらゆる音楽が繰り広げられる。 Kraftwerkが誇るサウンドシステムの威力を最大限発揮するようなプログラムが多く見られる中、今年のオープニングナイトはそのサウンドシステムに少しばかりの休息を与えた。Barbara MorgensternとPhilipp NeumannによるChor Der Kulturen Der Weltは、クラウドの中を動き回る数人のシンガーによる、マイクを通していない声のみをフィーチャーした。 約1時間後にMax LoderbauerとJacek Sienkiewiczがステージに上る時まで、その音量は大幅に上げられていった。フェスティバルのベスト・サプライズのうちの1つであったLoderbauerとSienkiewiczのセットは、重く、耳障りで、身震いするほど大音量のドローンで構成されていた。続いて登場したのはAlessandro CortiniとLawrence Englishによる
Immediate Horizon
。両ペアのパフォーマンスは似たようなサウンドスケープを展開したが、コンテクストは完全に異なるものであった。演奏が始まる前、後者のデュオからオーディエンスに向けて、床に座る、あるいは横たわるように促すメッセージがスクリーン上に映し出された。ほぼ全員がそれに従い、その理由は容易に理解できた。彼らのサウンドスケープは、耳障りであると同時に、非常に心地良いのだ。
Paul JebanasamとTarik Barriによるショウ、
Continuum
は、音的には印象深かったもののヴィジュアルは肝をつぶすような内容で、巨大なスクリーンの余白にはスクリーン全体で燃え盛る炎、あるいは広大な宇宙のような場所で瞬く光のようなものが映し出されていた。Vargによるパフォーマンス、
Ivory Towers
は、同じスクリーンを使用しながらも大きく異なったアプローチを取った。そこには麦畑、空港や、謎めいた表情をした正体不明の女性などの凝ったショットが映し出されたが、その画像にはいずれも不可解な意味があるように感じられた。 木曜日には、かつてKraftwerkの制御室であった場所に設置されたモジュラー・シンセで、Loderbauerが予告なしのサプライズ・セットをプレイした。彼はパッチを組むのにしばらく時間をかけ、その後このスペースを見つけ出した十数人の人々に向けてシンセの音を鳴らし始めた。Loderbauerは、数少ないクラウドに背を向けながらシンセをあれこれいじったり、ステージの脇の方へ退却したりを繰り返した。このこじんまりとしたパフォーマンスは、間違いなく今回のフェスティバルのベストの1つであった。
参加者の多くは、金曜夜の手始めとして、Kraftwerkのメインルームで行われたPowellのライブセットを見ていた。彼のプロダクションを聴いたことがある人ならば、クラブ環境で彼がどのような演奏をするのかは大体想像ができるだろう。狂ったようなドラムと、怒鳴るようなヴォーカルのサンプルが主な焦点となり、パフォーマンス中の最もヘヴィーな瞬間には、前者の轟きがまるで音の壁のように感じられたほどだ。Powellの後にはRegisとAncient MethodsがUgandan Methodsとして登場し、EBM/インダストリアル色の強いタフなテクノをプレイ。あまり変化のない、ドローンめいたシンセの音のレイヤーは、彼らのセットを十二分にトリッピーなものにした。 Ugandan Methodsの演奏が終了した後、舞台は下の階にあるStage Nullへ移動。ストックホルムのレーベルNorthern Electronicsのクルーが、午前1時からスタートしたこの夜の後半戦を担当した。Dense、Acronymによる瞑想的なセット、レーベルボスAbdulla RashimによるプロジェクトLundin Oil、そしてVarg(彼のステージにはDamien Dubrovnikが参加した)らがプレイした楽曲は、決してダンスフロア向きとは言えないものであったが、フロアには一晩中とても陽気なムードが漂っていた。
土曜日には、Shackletonがこの会場にピッタリな名前の新プロジェクト、Powerplantを初披露した。4人組編成のこのプロジェクトは、様々な種類のパーカッションを使用してダークでトライバルな音を生み、重点をオーディオから演劇的な動きへと転換させていった。あの空間の強烈な音を踏まえると、なかなか挑戦的なパフォーマンスであった。この時、オーディエンスの多くはウットリとしながら体を揺らしていた。中には、座りながらショウを見る為に椅子を持ち込んでいる観客までいた。しかし、このフロアの景色は、Shedがステージに現れるとガラリと変わった。彼のライブセットは自身のバックカタログを網羅するような内容で、彼が本調子になってくると、クラウドはすっかり、何も考えず無言でダンスするムードになったのだ。 Atonalの参加者の多くは、最終的にはテクノ・ヘヴィーなクラブ・セッションを求めて下の階のTresorへと移動した。メインステージでのライブA/Vパフォーマンスを終えた直後、RegisはTresorのDJブースにて未発表作と思われる曲の数々をプレイ。穏やかでクールな表情をキープしながら、力強いセットを披露した。
フェスティバルも終わりに近づいてきた日曜日には、Atonal常連のSamuel Kerridgeがクラッシィなパフォーマンスを披露。Contortのレーベルオーナーである彼は、その空間のユニークな音響効果を利用し、爆発的であると同時にどっぷりとハマれる瞬間を創り上げた。 Atonalは、実際に見て、そして聴いて、初めて完全に理解することのできるフェスティバルだ。音楽とカルチャー両方の可能性を広げることは、約30年前に西ベルリンで創設されて以来、同フェスティバルの潜在的価値であった。今年のイベントの内容を振り返っただけでも、彼らが今も尚、その理想を堅く保ち続けられていることは明らかだ。
Photo credit: Camille Blake
このレビューの執筆にはJordan RothleinとMatt Unicombも参加しています。
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