RA.617 Wata Igarashi

  • Published
    26 Mar 2018
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    141 MB
  • Length
    01:01:40
  • リッチでサイケデリックなテクノ
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  • もし最高のモダン・ディープテクノを聴きたいなら、日本人アーティストWata Igarashiの最新EP「Niskala」と「Sekala」をゲットすべきだ。ベルリン拠点のレーベルMidgarからリリースされたこの2枚は、いずれもサウンドデザインとアレンジメントにおける彼の類いまれなる才能を浮き彫りにしている。"Spirits In The Rain”というトラックには、我々が特に気に入った点がある。ブロークンキックパターン上でアルペジエートさせたシンセラインが5分間ほど増減し続け、その後サウンドの花束がステレオフィールド内で一斉に開花する。「彼は、テクノの最もクラシックなモードである、不穏なテンションを生み出す才能がある」「だが同時に、その伝統から逸脱し、より捉え難い感情と雰囲気を探求している」と、Will Lynchは「Sekala」のレビューの中で評している。また、我々は最近New Tracksで"Lost”を紹介した際に、彼の魅力をより単刀直入にまとめた。「Berghainにもう数時間留まりたくなりそうな、そんなトラックだ」と。しかし彼のスタイルをどのように説明しようとも、Igarashiのプロダクションが一段優れているというには明らかだ。それはおそらく、CM音楽のプロデューサーという彼の本職と関係があるのだろう。The Bunker New York、Bitta、MidgarからのEPで、Igarashiは繊細なドラムパターンと幻覚性のあるシンセシスを見事に融合させている。それは、エレクトロニックサウンドの可能性の追求に、膨大な時間を費やしたアーティストが生み出した音だ。 DJとして、そしてライブアーティストとして、Igarashiは現在の日本のテクノシーンをリードする存在の1人となった。彼は野外フェスティバルRural、DJ NobuによるパーティーFuture Terror、そしてmnml ssgs主催イベントのレギュラーであり、国外でも世界各地のベストクラブでギグを行なっている。彼のRAポッドキャストは1時間のライブセッションとなっており、彼のプロダクションに浸り、そして彼のクラブでのライブパフォーマンスを体験できるという、2つの楽しみを我々に与えてくれる。音源には彼のバックカタログのほか、今後リリースが期待される未発表カット数曲が使用されている。 近況報告をお願いします。 2018年はとても良いスタートをきっています。まず、Midgarよりリリースした2枚のEP「Niskala」と「Sekala」は、バリ島のウブドにインスパイアされて作った楽曲で構成しています。それと、The Bunker New Yorkの15周年コンピレーション・アルバムに1曲、アシッド・トラックを提供しました。ギグに関しては、東京でのプレイの他、日本の各都市に遠征したり、台北のSmoke Machine Nightにも出演しました。それ以外は音楽制作のため、常にスタジオにこもっています。 ミックスの制作環境について教えてください。 スタジオで録音したワンテイクのライブ・セッションで、ライブの現場とまったく同じセッティングでプレイしました。機材はAcidlab MiamiにRoland TR-909、数台のモジュラーシンセに加えて、Ableton LiveとMIDIコントローラーを使っています。 ミックスのコンセプトについて教えてください。 自分にとってアーティスト活動の核は音楽制作なので、ライブで自分の楽曲を演奏する事は、制作の延長線上にある大切なものだと思っています。でも、これまでポッドキャストはDJミックスを提供するばかりで、そういった側面を出せていないと感じていました。今回は作品のリリース・タイミングと合ったこと、それにRAは優れたプラットフォームなので、ライブセットを提供することにしました。ディープなトリップ感がありつつも、強いエネルギーでフロアを導くような、現場らしい勢いを感じてもらえたらと思います。 あなたが2015年にRAのBreaking Throughに登場した時は、まだ日本の気鋭アーティストのひとりとしてシーンに出てきた頃でした。あれから3年が経ち、自身を取り巻く環境は、どう変化しましたか? 自分がやろうとすることが多くの人に認識され、サポートされていることに、まず感謝しています。国内外のツアーも増え、今まで以上に意欲に加えて自信を持つこともできました。さまざまな場所や状況でプレイすることで、制作やパフォーマンスにおける、新しいアプローチやアイディアを発見し続けています。これまで、人生のほとんどの時間を音楽を作ったり、プレイすることに割いていますが、それでも今だに学ぶことが多いと実感できること自体、とても嬉しいことだと感じています。 テクノアーティストとして日本を拠点に活動することに関して、意見を聞かせてください。地理的にヨーロッパから離れていることで、何か難しく感じることはありますか? また、現在の東京のテクノシーンをどう捉えていますか? ヨーロッパと日本が離れていることで、文化的な違いを体験でき、アーティストとして成長できたり、チャンスを得る機会にもなると思っています。一方、日本でプレイするときは、オーディエンスの大半は寛大でオープンマインドな人が多いと感じるので、より深く攻めるプレイが出来る機会も多いですね。 もちろんヨーロッパ・ツアーは大変ですが、アメリカのアーティストがヨーロッパに行くのと、さほど変わりませんし、サウンドに関しても世界中のアーティストやレーベルと同じ価値観で繋がっていると感じています。それに自分がやっている事が、それほど日本的なものではないと思うので、ヨーロッパと日本が離れていることで何か難しさを感じることはあまりないですね。 もちろん、日本に住むことの良いことと、そうでないところもあります。僕が暮らしている東京には、常に良いテクノのシーンが存在していて、海外の素晴らしいアーティストたちも常々来日しています。クラブのクオリティも良く、優れたレコード屋もあるので、アーティストやテクノが好きなリスナーにとっては、良い環境だと思います。それに加え、東京に限らず日本のオーディエンスたちが、ディープでサイケデリックなテクノを好む傾向があるのも、僕の活動とも合っていると思います。 その一方で、日本独特の年功序列という考え方やグループ意識が強いことから、年齢層やグループによって距離感があり、パーティーでも交わらないことがあったり、新しい人がそういったグループに入りづらいことがあります。ただ、近年その傾向が少し薄くなってきた気がしています。パーティーで若手のDJがキャリアのあるDJと一緒にブッキングされる機会が増えているのもその理由だと思います。この感じでフロアでもブースでも、若い人たちをもっと見たいと思っています。 今後の予定は? 4月にはヨーロッパ・ツアーがあります。その後は日本でのギグのほか、アジアやその他多くの国への遠征も予定されています。今年の後半にはライブセット・ツアーの計画もあり、とても楽しみにしています。 リリースはThe Bunker New Yorkより2枚目のEPが4月に発売されます。タイトル曲の「Question And Answer」は今回のセットでプレイしています。また、Prins Thomas、Sverca & Retina.it、Mosam Howiesonらの楽曲のリミックスも手掛けていて、これらのトラックもすでに完成しているので、今年中にはリリースされると思います。 それと去年の年末に、大阪のCompufunk Recordsで、はじめて音楽制作のワークショップを開き、テクノ・ミュージックを制作するにあたっての自分なりの経験や提案を、これから制作を始める人や始めたけど壁に感じている人たちと共有しました。この経験は僕にとって意義深いものだったので、今後東京でもやりたいと考えています。日本人は細かいテクニカルな作業を得意とする人が多く、素晴らしいシンセサイザーのメーカーもあるので、今後、優れたテクノ・プロデューサーが増える可能性は高いと思っています。僕自身、アーティストとして成長しながら、これからの制作者に対してヘルプもできるような立場になっていきたいと思っています。
  • Tracklist
      Wata Igarashi - Mood of the Machines Part III - The Bunker New York Volte-Face - Blatchington Mill (Wata Igarashi Stairway Remix) - BleeD Wata Igarashi - Adrenochrome - The Bunker New York Wata Igarashi - Untitled - Unreleased Wata Igarashi - Question and Answer - The Bunker New York Voiski and Wata Igarashi - Pomme (Wata Igarashi Version) - Unreleased Wata Igarashi - Lost - Midgar Wata Igarashi - Untitled - Unreleased Wata Igarashi - Mantle - Midgar Sigha - Black Massing (Wata Igarashi Dusk Falls Remix) - Token Wata Igarashi - Moonlight - Midgar