RA.480 Michael Gracioppo

  • Published
    10 Aug 2015
  • Filesize
    135 MB
  • Length
    00:59:03
  • Innervisionsの新しい刺客が登場
  • Share
  • 才能溢れる新進プロデューサー、Michael Gracioppoは、Dixon、Âme、Tale Of Usといったアーティストのおかげで近年人気を集めているメロディアスなハウスを得意とする。しかしモントリオール出身、ベルリン在住であり、現在20代半ばであるということ以外、彼の詳細は今回のインタビューに答えてもらうまで謎に包まれたままであった。GracioppoはDixonとÂme主宰のInnervisionsからリリースしたことで最も知られており、2013年にリリースした片面シングル「Creep」は、レーベル・カラーにマッチした素晴らしい内容であった。Wayne Tennantのヴォーカルをフィーチャーした同曲は、沸き上がってくるようなメランコリックさを内包しており、その後Tale Of Us & Vaal、Reconditeによるリミックスも登場した。今年に入ってからは、Innervisionsのコンピレーション、『Secret Weapons (Part Seven)』に 彼が手がけたClockworkの"Running, Searching"のリミックスが収録されていた。しかしこういったトラックのドラマチックなインパクトに圧倒され、Gracioppoが最も拘っていることのようである、ディティールに注目し忘れているリスナーも多いかもしれない。Motor City Drum EnsembleのMCDEレーベルから出た「Santo & Christine」では、サンプリングされた音素材や偶然に生まれたノイズなどがより解り易い形で用いられており、彼の音楽のユニークな一面を表している。彼はRicardo VillalobosやAkufenといったアーティストたちが作り上げたマイクロ・ハウスを、彼なりの情緒的な解釈で提示しているのだ。 そしてDC10、Panorama Bar、Plastic Peopleといった現場でギグをこなしてきた彼は、現在これまで以上に勢いを増している。彼が手がけてくれた今回のRAポッドキャストは、今後彼のDJセットで聞けるかもしれない曲と、これまで彼にとってインスピレーションとなった曲で構成されている。 まずは近況報告をお願いします 俺はそもそもDJではなくプロデューサーとして始めたから、ここ1年半ぐらいは勉強の日々だったよ。もともと、クラブ通いしていたわけじゃないし、パフォーマーになろうと思っていたわけでもない。ただ細部まで作り込んで、丁寧にトラックを作れるようになろうとしていただけなんだ。 でも今では、自分の興味が全く違う所にある。DJをすること、そしてライブをやることが大好きでしょうがないんだ。Plastic People、DC10、そしてPanorama Barといった場所でプレイするチャンスをもらって、それまで全く見向きもしていなかったこのカルチャーを理解することができたんだ。 ミックスの制作環境を教えてください 雪の降っていたとある日の午後、モントリオールでAbleton Liveを使って制作したんだ。トラックとサンプルを全てコンパイルしたあと、新しいセッションを開いて全部ロードして、RECを押し、オートメーションにコントローラーを使ったんだ。数日後、改めて聞き直して、微調整を加えた。 ミックスのコンセプトについて教えてください このミックスでやりたかったのは、俺のこれまでと、現在を表すような日記のようなものにしたかったことだ。過去に発見した大好きな曲から、最近プレイしている曲までを盛り込んだ。機能的なものにしたかったものの、AutechreやGodspeed You! Black Emperorなど、俺の楽曲制作に影響を与えたアーティストの曲をしっかり入れる部分をもうけることに気を配ったんだ。 InnervisionsとMCDEからリリースをするに至った経緯は? 俺のエレクトロニック・ミュージックに対する考え方は、このふたつのレーベルに大きく影響を受けているんだ。InnervisionsやMCDEは、PlayhouseとDialと共に、俺が初期に発見して夢中になったレーベルだった。「MCDE1001」は『Alcachofa』、「Secret Weapons」、『Fatty Folders』、「Raw Cuts」、『Untrue』といった作品に数年間浸った結果、生まれたものだ。できた楽曲を、1950年に撮影された祖父母の写真とセットでMCDEにメールしてみたんだ。驚くことにすぐに返事がきて、しかもリリースをしてくれるという話だった。躊躇することなくイエスと答えた。そしてリミックスのことを聞かれたときは、安定のReshaperにクラブ向けのバージョンを作ってもらいたいと希望したんだ。 『Raw Cuts Remixes』を制作していることを聞いた僕は、作品に参加したくDaniloの曲をリミックスしたいと申し出たんだが、"There's A Truth"のリミックスが大失敗に終わると、Daniloのパートを抜き取りオリジナル曲として作り込むことにした。そして何かインスピレーションはないかと思い自分のレコード・コレクションを漁っていたら、昔大好きだったAtjazzによるFred Everythingの"Mercyless"のリミックスを発見した。元々はこの曲のグルーヴに引き込まれたんだけど、フィーチャーされているシンガーのユニークなトーンも凄く好きだった。 そのWayne Tennantがモントリオールに住んでいることを知ると、駄目もとでメッセージを送ってコラボを提案してみたんだ。その後数週間に渡ってメールでやりとりをして、お互い失恋したばかりということで話も合って、仲良くなった。そしてお互い、コラボレーションに対するビジョンが近かった。Wayneはマイアミに行って作詞して、俺はワクワクしながら彼の歌ができるのを持った。驚くことに、次の日の朝にはWayneによるラフバージョンが送られていて、聞いてすぐに大好きになった。その3日後、ファイナル・バージョンを録音したんだ。 とある日本のレーベルとの契約の話がなくなった後、この際思い切ってInnervisionsをトライしてみようと思った。レーベル的には"Howling"を出したあとで、そろそろまたビッグなヴォーカル曲があっても良い頃だと思った。Steffenなら気に入ってくれると思ったんだが、彼と連絡をとるのが大変だった。しかしありがたいことにちょっと前にRamon Crespoと会っていたんだ。あの日のことは今でも鮮明に覚えているよ。ヘッドセットを装着して、セースルマン・モードで、陰鬱なコールセンターで最低賃金をもらって生命保険の営業をやっていたそのとき、電話が鳴ったんだ。Ramonは、彼がこれまで幾度となくやってきたように、アーティストとレーベルを繋げたんだ。俺のラブレターはついに届いたんだ。 目を輝かせて、悦びを隠せないまま俺は友人のバーベキューに行った。ドアを開けて、いつものメンバーに挨拶をしたら、見慣れない人がいたことに気がついた。何やら溶け込めずにいた様子の彼はMacBookをいじりつづけながら、「チャオ」と笑顔を見せた。そのまま時間は過ぎ、何杯か呑んだあと、俺はついに友人たちにビッグニュースを伝えることにしたんだ。「Innervisions」というワードを一回口にしたとき、あの謎の人が立ち上がり、こちらを見た。そして「聞かせてくれよ」と彼は言ってきた。なんとその人はTale Of UsのKarmだったんだ。その2間後、すっかり酔っぱらっていた俺は、Innervisionsからリリースが控えて、しかもTale Of Usがリミックスをやることも決まって、有頂天だったね。 自身のプロダクション・スタイルをどう表現しますか?特定のムードやテーマに惹かれることはありますか? 俺の制作方法は「計算的」と表現するのが適切かな。ジャムセッションの部分はなくて、全てを神経質に考え抜いて作り込んでいるんだ。こういうやり方だと作品のリリース数はとても少なくなってしまうけど、その分クオリティが高く保てる。そもそもライブをやるために音楽を作っていたわけじゃないからね。 技術的に言うと、俺の目標はなるべく“コンピューター”的に聞こえないコンピューター・ミュージックを作ることだ。つまり、可能なかぎりアコースティックな楽器を使うことだ。録音したものも、サンプリングも含めてね。サンプリングをやり出したおかげで、それまでまったく聞いていなかったミュージシャンやスタイルの音楽に出会った。より人間味のある音を求める過程で、Harold Budd、Rokia Traoré、Eberhard Weberなど多くのミュージシャンが僕の世界に入って来たんだ。サンプリングをすると、例えばピアノの音を1秒や2秒切り取っているだけじゃなくて、そのピアノが録音された部屋の音も取っているんだ。俺にとって質感はとても大事なんだ。 ひとつ意識しているのは、隙間をあまり残さないことだ。特にドラム。もし生ドラムを演奏したら、バスドラムとハイハットの間に完全な無音の瞬間なんてあるはずがないんだ。だから部屋の音やノイズで隙間を埋めて、そして大きい音の塊が少ない数鳴っているより、細かい音が沢山鳴っているようにすることで、楽曲がより面白くなると思うんだ。この信念を誰よりも上手く表現しているのが、Ricardo Villalobosなんだ。彼はシンプルなのに素晴らしく人間味のあるグルーヴを軸に、15分間の音楽旅のような楽曲を生むことができる。聞くたびに、それまで気づかなかったテクスチャーやトーンを発見することができるんだ。 今後の予定は? ベルリンの新しい家に引っ越し終えることだね。これまでずっとモントリオールに住んでいて、良い24年間だったけど、海外に行けば行く程、カナダが恋しくなくなっていったんだ。James Holdenは、「自分と波長の合う人を見つけることが全てだ」と言っていた。そういう人達をベリルンで見つけたんだ。
  • Tracklist
      Byetone - Capture This (I) - Raster-Noton Loco Dice - Paradiso - Cadenza Michael Gracioppo - Creep (feat. Wayne Tennant) (Acapella) - Innervisions Autechre - Nine - Warp Records Orson Wells - Endless - Innervisions Robag Wruhme - Prognosen Bomm - Pampa Records Roman Flügel - How To Spread Lies - Dial Burial - Raver – Hyperdub Autechre - Yulquen - Warp Records Âme - Basic Track - Innervisions Trentemøller - Miss You - Poker Flat DJ Metatron - Oh Ah (Michael Gracioppo Edit) - Giegling Swayzak - Smile And Receive (Apparat Remix) - Studio !K7 Nick Höppner - Isp - Ostgut Ton Pantha Du Prince - Asha - Dial Efdemin - Acid Bells - Curle Recordings Unknown - Untitled - Unreleased Godspeed You! Black Emperor - The Dead Flag Blues - Constellation Records The Persuader - Inre Stenen - Templar The Advent - Body Count (Alan Fitzpatrick Zombie Dancer Remix) - H-Productions DBX - Losing Control - Peacefrog Records The Rhythm Odyssey And Knights Of Olde - (South London Ordinance Remix) - FILM Trentemøller - Into The Trees (Serenetti Part 3) - Poker Flat Recordings Nathan Fake - Nuuk - Cambria Instruments